薬膳の資格は多岐にわたり、「興味はあるけど、どの資格がよいのかわからない。」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、薬膳に関する資格の種類とその違いについてお伝えします。

薬膳に関する資格は難易度によって初級編から上級編まであります。通信教育や講座を受講したのち試験に合格することで取得できるものや、一定期間講座を受講し無試験で取得できるものもあります。認定する学会もさまざまありますのでご紹介していきます。
<初級編>
1 薬膳コーディネーター
薬膳の知識を基礎から身に着けることができます。家庭や地域、職場で健康的な体作りに貢献できる資格です。
4か月間の通信教育(ユーキャン)で学び、本草薬膳学院が認定する資格試験に合格する必要があります。試験時期は通年であり、期限内であれば自分のタイミングでいつでも受験することが可能です。また、在宅で受験することができます。
この資格を取得することで、本草薬膳学院に編入し、中級の中医薬膳師や上級の国際薬膳師(中国薬膳研究会が認定)を目指すことができます。
2 薬膳アドバイザー
薬膳の基礎理論、簡単な陰陽五行、食物の性質、気・血・津液について学びます。
(1)薬膳教育施設で40時間以上の薬膳講習を受けたことが証明されると無試験で認定される場合(日本中医食養学会)と
(2)4か月間の通信教育(東京カルチャーセンター)を受けることで、同団体が「薬膳アドバイザー養成通信講座終了証」を発行し、認定される場合があります。この資格を取得することで、中医薬膳指導員を目指すことができます。
(3)講習や通信教育(全日本薬膳食医情報協会)で勉強したのち、資格試験に合格して認定される場合(中国中医薬研究促進会が認定)もあります。資格を取得することで、中国薬膳調理師を目指すことができます。
また、中国中医薬研究促進会が認定する薬膳アドバイザーの上位の資格としては、中級の薬膳インストラクター、上級の国際薬膳調理師があります。
3 薬膳インストラクター
薬膳の歴史や中医学の基礎知識のほか、五臓六腑の生理・病理、食材の特徴や効能と調理方法を学ぶことができます。
4か月間の通信教育(キャリアカレッジジャパン)を受講したのち、在宅で受験し合格
すると日本能力開発推進協会(JADP)により認定されます。
4 和漢薬膳師(旧 国際薬膳食育師)
健康、長寿を目的とした「和食漢」の知識を深めることを目的としています。
がくぶんの通信教育「薬膳マイスター養成講座」を受講したのち、国際薬膳食育学会が認定します。4つの区分が存在しており、3級は薬膳マイスターと称され、和漢膳(薬膳を日本人の味覚や体質に合うようにアレンジしたもの)の基礎理論を学ぶことができます。飛び級をすることができないため、まず3級取得から始めることになります。
2級は基礎力を高め、基礎技術を学び、和漢膳を自分で作ることができるようになります。1級は応用力、技術力をさらに高め、和漢膳の専門知識を身に着け、証別和漢膳が作れるようになります。そして最上位の特級師範があります。これは学会公認講師となり、和漢膳のエキスパートとしてマスコミや講習会に派遣されるなど活躍の場が広がっていきます。
5 薬膳セラピスト
「学んだことを人に伝えたい!」という声から作られた資格認定制度です。
「薬膳を通して、自分も、みんなも、世界も幸せ!」をモットーとしており、身近な人の健康維持に役立ちます。薬膳セラピストは漢方キッチンの商標登録となっています。
薬膳アカデミアや薬膳アカデミア指定校が主催する「薬膳セラピスト講座」を受講し試験に合格すると認定されます。この資格を取得すると、将来的に薬膳の国際資格である国際中医薬膳管理師を目指すことができます。
<中級>
6 薬膳インストラクター
全日本薬膳食医情報協会(ANY)で受講したのち受験し合格すると、中国中医薬研究促進会によって認定されます。
②-(3)の方法で薬膳アドバイザーを取得したのち受験可能となります。
7 中医薬膳師
薬膳に関する基本的な知識を習得します。主に中医基礎理論、中医営養学、食材学などを学びます。この資格を取得することで国際薬膳師や国際薬膳調理師の受験資格を得ることができます。
本草薬膳学院で受講し同団体が認定します。1000時間の学習が必要とされています。①から編入可能です。
8 中医薬膳指導員、中医薬膳調理師
中医薬膳指導員は薬膳レシピを自分で作ることができるようになります。中医薬膳調理師は、一般の調理師とは異なり、調理師がさらなる技術認定の証明のために活用されることが多いです。
日本中医食養学会や薬膳教育施設で60時間の講習を受講し試験に合格することで、日本中医食養学会より認定されます。また、②-(2)取得後に講習を受けて受験することが可能です。この資格を取得すると将来的に「国際中医薬膳師」や「国際薬膳調理師」を受験することが可能となります。
9 国際薬膳食育師2級、国際薬膳食育師1級、国際薬膳食育師特級師範(和食漢プロフェッサー)
国際薬膳食育学会で受講したのち同学会が認定します。④取得後に講習を受けて受験することが可能です。2級は講習会を4日間受けてから筆記試験と面接試験(口述試験)に合格することで認定されます。
1級は講習会を6日間受けてから一次試験(筆記試験)と二次試験(口答試験)、面接を受け合格することで認定されます。
特級師範(和漢膳プロフェッサー)は、特別講習を5回受けてから一次試験(筆記、実技試験)と二次試験(口答試験)に合格することで認定されます。
<上級編>
10 国際薬膳師
中国薬膳研究会(中国国務院などの委託により、薬膳についての政策を定める最高権威機構)が認定する薬膳の理論、実技の水準を鑑定する薬膳における最高の資格とされています。⑦を取得後に受験することが可能となります。試験項目としては、中医基礎学、中医診断学、中薬学、食材学、中医内科学などがあります。
11 国際薬膳調理師
2005年から実施されていて比較的新しい資格です。中国中医薬研究促進会が認定します。調理師の資格を有している必要があります。
⑥を取得後に受験することが可能となります。また、⑧を取得後に60時間の講習を受けて受験することが可能です。
12 国際中医薬膳師
日本で薬膳師として最も最高位の資格となります。北京中医薬大学日本校で受講したのち、中国中医薬研究促進会が認定します。
⑧を取得後に60時間の講習を受けて受験することが可能です。
13 国際中医薬膳管理師
薬膳に関する資格における最高レベルのスペシャリストといえます。
(1)遼寧(りょうねい)中医薬大学付属日本中医薬学院で受講し、合格すれば世界中医薬学会連合会で認定されます。
(2)⑤の資格を取得後、国際中医薬膳管理師養成講座を受けて受験することが可能です。
試験問題は中国語で書かれていますが、試験費用の三分の一を払えば日本語で試験を受けることができます。
<終わりに>
いかがでしたか?薬膳に関する資格とその取得方法がたくさんあることが伝わりましたでしょうか。自分や身近な人の健康維持に役立てたい方であれば初級の資格、仕事にいかしていきたい方やもっと深く薬膳を学びたい方は中級、上級とステップアップしていきましょう。そのためには、初級の資格を選ぶ際に、中級や上級の資格を受験可能な資格を選ぶことをおすすめします。
かかる費用や時間などは講座によって異なるため、興味があれば是非調べてみてくださいね。
<参考文献・URL>
「薬膳の資格の種類」
一般財団法人 日本能力開発推進協会「薬膳インストラクター」
全日本薬膳食医情報協会「資格について」
資格の門【2020年】 「国際薬膳食育師とは」
漢方キッチン 「薬膳セラピストとは」
いちこLOG 「【日本の薬膳資格の最高峰】国際薬膳師になるには?講座の修了生が解説!」
日本中医食養学会 「資格認定制度について」