冷え性を予防しダイエットの味方になるラム肉

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ラム肉というと、ジンギスカンや高級フレンチ料理のメインに登場する、ちょっとおしゃれな骨付き肉を思い浮かべませんか?人によってはあの匂いが苦手だとも言いますが、ラム肉には女性にうれしいさまざまな効能が秘められているのです。今回はラム肉の健康効果やおいしいレシピをご紹介します。

shallow focus photography of sheep
Photo by Dan Hamill on Pexels.com

ラム肉の原産地や特徴とは?

ラム肉は、生後1年未満の子羊のことです。その中でもまだ離乳していない、特に幼い子羊をミルクラム、また、生後一年以上経った羊をマトンと呼びます。

そもそもの羊は、ウシ科に属する反芻動物で、アジアからヨーロッパにかけての高山地帯に生息していたものを、古代メソポタミアで家畜化されたのが始まりとされています。日本には、弥生時代に大陸から伝わったとされる琴の装飾に羊と思われる骨の一部が利用されているのが確認できますが、もとより野生種が存在していなかったと考えられています。

奈良時代以降も中国や朝鮮半島からの献上品としてもたらせていましたが、仏教の影響で肉として利用することはなく、一部羊毛用として利用された以外、定着することはなかったようです。

日本では、冷涼な気候で羊の飼育に適する北海道や東北地方で、大正時代より少しずつ飼育されるようになり、全国的にラム肉が食べられるようになったのは、ほんの30年程度前からのことで、全国的に入手しやすいのはオーストラリアやニュージーランドからの輸入品になります。

よく、「羊肉は臭みがある」と言われますが、羊肉独特の匂いは成長と共に脂身に蓄積されていくものなので、臭いが気になる方は脂肪の部分をできる限り落としておくとよいでしょう。

ラム肉の栄養や薬膳的効能

  • たんぱく質

糖質、脂質とともに三大栄養素の一つとされ、私たちの筋肉や内臓、皮膚、毛髪をはじめ、ホルモン、抗体などを作り出す、大切な栄養素の一つです。また、エネルギーとしても利用されています。

取り過ぎると消化・吸収の際に腎臓に負担がかかり、腎機能の低下を招くことがあります。不足すると筋力や免疫力の低下につながることがあります。

  • ビタミンB1

ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える酵素の働きを促進し、疲労回復に役立つビタミンとして知られています。

不足するとイライラしたり、集中力が低下したりするほか、脳の中枢神経に影響を及ぼし、眼球の運動麻痺や意識障害などを引き起こします。

  • ビタミンB2

ビタミンB2は、脂質、糖質、たんぱく質からエネルギーを作り出すビタミンです。また、細胞の再生、皮膚や毛髪などを健やかに保ち成長を促すほか、粘膜の健康を保ち、口角炎などを防ぐ働きがあります。

  • ビタミンE

ビタミンEは抗酸化力が強く、私たちの細胞や遺伝子などを活性酸素から守る働きがあります。また、血管を健やかに保ち、血行を改善して酸素や栄養を含む血液を体の隅々まで送り届けるとともに細胞の酸化を防ぐことから、私たちの体の老化防止に役立つのではと言われています。

鉄は主に私たちの血液中のヘモグロビンの中に含まれ、体中に酸素を届ける役割をしています。不足すると鉄欠乏性貧血を引き起こしたり、疲れやすくなったりするほか、体温の低下を招き、免疫力の低下を招くこともあります。鉄分は月経や運動によっても失われるので、常に撮り続ける必要があります。

  • 亜鉛

亜鉛は血液や皮膚に多く存在し、代謝を高め、免疫力を司る酵素の成分となる、重要なミネラルの一つです。

亜鉛が不足し、下の上にある味蕾(味を感じる細胞)の代謝が落ちると、味覚障害を引き起こすことがあります。

  • ビタミンB6

ビタミンB6は、たんぱく質の分解、合成を助けています。また、脂質の代謝を促進し、脂肪肝を予防すると言われています。

また、女性ホルモンであるエストロゲンの代謝にかかわり、月経前症候群(PMS)の症状を緩和したり、つわりの症状を緩和したりする効果が期待できます。

  • ナイアシン

ナイアシンは私たちが取った糖質や脂質をエネルギーに変える働きがあります。そのため、疲労回復や体温維持に役立っているといわれています。また、皮膚や粘膜を健やかに保つ働きがあり、不足するとペラグラ皮膚炎や口角炎が起こることがあります。

  • L-カルニチン

L-カルニチンはアミノ酸の一種で、脂肪燃焼効果が高く、ダイエットの強い味方となります。

体内でも合成されているのですが、加齢とともに減少していくため、食品から摂取することがおすすめです

薬膳で考える こんな時にラム肉がおすすめ

中医薬膳学ではラム肉を下記の通り定義しています。

性味帰経効能適応
甘/温脾腎補気 補虚損 温中 暖腰膝 通乳疲労 足腰の冷え 母乳不足 体力回復 保温

『現代の食卓に生かす「食物性味表」」日本中医食養学会編纂より

体が冷えている時・足腰の冷えが取れないとき

薬膳では、ラム肉は体を温める力が強く、冷えが取れないときに適しているといわれています。ラム肉と同様、ニラや玉ねぎなどと合わせ、炒め煮などにしてとろみをつけると、しっかりと体が温まりますよ。

疲労が取れないとき

薬膳では、ラム肉は気力を補い、疲れた胃腸や体を癒す働きがあるとされています。

たんぱく質やビタミンなどの栄養素を豊富に含むラム肉は、疲労回復にもおすすめです。疲れがひどく食欲があまりない時には、小さめに切って味噌炒めなどにし、お粥のトッピングにしてもよいですね。

産後の疲れが取れず、母乳の出が悪い時に

薬膳では、ラムには通乳作用があるとされています。通乳とは母乳の出をよくするという意味で、冷えて冷たくなりがちな体を温め、血行が良くなること、たんぱく質をはじめ多くの栄養素を補うことができるラム肉が、授乳期の女性にぴったりなことがわかりますね。

ただし、スパイスやにんにくなどを多用すると、母乳にもその香りが出て、赤ちゃんが嫌がってしまうことがあります。脂肪の部分は少し切り取って独特の匂いを抑え、しゃぶしゃぶなどでいただくとよいでしょう。

ラムレシピ

ラムのスパイシーレモン焼き

独特の香りに好き嫌いがあるラム肉ですが、とても相性の良いクミンに加え、にんにくやレモンを加えることで、スパイシーでさっぱりとして、とても食べやすくおいしくなりますよ。

今までラム肉は臭いがちょっと苦手だった…という方や、ボリュームが欲しい男性にもおすすめです。レモンの酸味を加えることで、塩分を抑えることができるのもうれしいポイントですね。

【材料】   2人分

・ラム薄切り肉・・・150g

・玉ねぎ・・・1/2個

・にんじん・・・1/4本

・クミン(ホール)・・・小さじ1/2

・にんにく・・・1かけ

・塩・・・小さじ1/4

・レモン汁・・・1/2個分

・サラダオイル・・・大さじ1

・レタス、チシャなど

【作り方】

  • 玉ねぎは薄切り、にんじんは千切りにしておきます。レタスやチシャはきれいに洗って水を切っておきます。
  • にんにくは芽を取り除き、すりおろすか薄くスライスしておきます。
  • 塩、クミン、②のにんにく、レモン汁を合わせ、ラム肉に回しかけて軽く揉み込み、冷蔵庫で30分程度なじませます。
  • フライパンにサラダオイルを熱し、①の玉ねぎ、にんじんを炒め、軽くしんなりとしたら③のラム肉を加えてしっかりと火が通るように炒めます。
  • 皿に盛り、お好みで、レタスなどで巻いていただきます。

まとめ

今回は、ラム肉についての薬膳の効能や栄養価をご紹介しました。ラム肉は体を温め、脂肪燃焼効果が高い、女性にピッタリのお肉ですね。

体を温めることを得意とするラムです。昨今の猛暑が襲う夏にはお預けにし、秋口から冬にかけてのお楽しみとしていただきましょう。