月経の不調、ただ我慢するしかないなんて思っていませんか?
生理中だけではなく、生理前までも悩まされる症状ですが、本来こういった症状がないことが正常と考えられています。
月経の不調は体の不調です。
今回はそんな女性の身近な症状、月経の不調についてご紹介いたします。
「月経の不調」とは
正常な月経とは
本来、生理痛がないことが正常と考えられています。
周期が28日前後(21~35日は正常範囲)、整理期間は3~7日(4~5日の人が多い)、量は多い日は長時間のナプキンで2時間を過ごせる程度、色は赤く、粘り気がなく、レバー状のものがない状態が正常と言われています。
「月経の不調」症状
月経の不調といえば、下腹部痛、PMS、月経周期の乱れ等がありますが、これらは血の異常に気・水のバランスに乱れが加わった状態です。
生理前の不調、PMS(月経前症候群)とは、生理の1~2週間くらい前から、頭痛、眠気、便秘、下腹部や乳房の張りなどの身体的な不快とイライラ、憂鬱、情緒不安定など精神的な不快が現れることです。
「月経の不調」原因
生理痛は、子宮内膜や骨盤内に生じた血の異常によって発生します。
また肝、腎も深く関わります。
月経2週間前頃から生じるホルモン量の増加によって、体に水を貯蓄させる働きが強まるため、むくみなどの水毒症状や気滞によるイライラ等が出現します。
PMSはホルモンバランスの乱れが原因と言われますが、東洋医学では気の不調が原因とします。
「月経の不調」代表的なタイプ
①血の異常タイプ
血虚、血瘀など血の異常がみられるタイプです。
血虚の人は冷え性で痩せ型、疲れやすいです。
月経血が黒かったり、血の塊が多い人は瘀血タイプと考えられ、月経痛のほか、下腹部の膨満感や便秘が生じやすく、肌荒れやにきびなどもみられます。
②水毒タイプ
水分代謝が悪く、月経前にむくみがみられるほか、頭痛や冷えなどの症状を伴います。
月経2週間前頃から黄体ホルモン量が変化し、体に余分な水分を貯留させるため「水毒」な状態になります。
この時期は胃腸を冷やすと症状が悪化するので、注意が必要です。
③気滞タイプ
イライラしたかと思うと、突然うつうつし、気力がなくなるような不安定な精神症状が見られるタイプです。
気逆、気滞が複合的に生じ、気分の浮き沈みが特徴です。
月経前・排卵期が最も気が滞りやすい時期になるため、精神的な乱れが顕著になります。
④気虚・陽虚タイプ
気が不足することで体が温められずに冷えてしまい、血の巡りが悪くなることで、経血量が少ないもしくは多くなる、周期が早まる、不正出血があるといった症状が出ます。
他にもやる気が起きない、風邪を引きやすい、手足の冷え、食後すぐに眠くなる、胃下垂などの症状もあります。
⑤冷え・陽虚タイプ
体を温める気が少ないなど、体が冷えることで、血が巡らず、痛みとなります。
手足の冷え、顔色が青白い、温かいものを飲みたがる、軟便、下痢、尿量が多く色が薄いといった症状があります。
⑥暑がりタイプ
湿と熱があることで気、血の巡りが悪くなり、痛みとなります。
灼熱感があり、激しい痛みで、温めるとさらに痛みが悪化します。
口渇、顔色が赤い、目が赤い、便秘、皮膚の炎症等の症状があります。
⑦肝タイプ
肝は血を貯蔵する働きがあり、生理に関係が深い臓です。
下腹部の両脇の痛みや胸が張ると言った症状があります。
またイライラ、足がつる、目の症状、頭痛、肩こりなど張るような痛み、ストレスで悪化などの症状もあります。
⑧腎タイプ
腎は生殖に関する働きを担っているため、生理に関係が深い臓です。
下腹部から腰にかけて痛みがあります。
腹痛、足腰がだるい、耳の症状、老化がはやい、むくみなどの症状があります。
対処法
月経の不調には
生理中は体の老廃物を出すデトックスの時です。
ゆったりと過ごすことで、気、血の消耗を少なくし、気持ちもゆったりとさせて、ストレスをためないようにすることで痛みも軽減します。
腰回りの血流をよくするのに、日頃から骨盤回しをするのもおすすめです。(ただし生理中は控えてください)
偏食すると気、血をつくることができなくなるばかりか、寒熱のバランスが崩れやすくなります。
日頃の食事内容をみなおすだけでも改善させます。
食養生
①血の異常タイプ
→血の巡りを高める 温熱・辛味の食材
玉ねぎ、エシャロット、イワシ、秋刀魚など
②水毒タイプ
→利尿効果の高い食材
大根、アサリ、冬瓜など
寒涼性のため、煮たり、汁物にする等、温かく調理して食すのがいいです。
③気滞タイプ
→気の流れを改善する食材
三つ葉、春菊、柑橘系など
香り成分に富む食材がいいです。
④気虚・陽虚タイプ
→気を補う食材
うるち米、もち米、山芋、サツマイモ、大豆等
⑤冷え・陽虚タイプ
→体を温める食材
くるみ、鶏肉、黒砂糖、鮭、玉ねぎ、生姜等
⑥暑がりタイプ
→体の熱を冷ます食材
アサリ、蟹、昆布、のり、ひじき等
⑦肝タイプ
→肝の働きを助ける食材
いちご、枸杞子、うなぎ、ししゃも、鰻など
→イライラや頭痛など肝の働きが亢進している時に
菊花、アロエ、ししとう、穴子、ピーマン、トマト等
⑧腎タイプ
→腎の働きを助ける食材
黒米、小麦、黒ごま、豚肉、キャベツ等
自宅でできる薬膳
お義母さんに教えていただいた薬膳をご紹介致します。
私のお義母さんは中国出身で、薬膳の知識を生かした中国料理店も営んでいます。
そんなお義母さんが作ってくれる料理は、温かい家庭の味と、先祖代々受け継いだ知識が詰まっています。
今日はそんなここならではの秘伝のレシピについて、ご紹介いたします。
桂花陳酒のお湯割
一般的な「桂花陳酒」は、白ワインにキンモクセイのお花を3年漬けてできた混合酒のことを言います。
お義母さん曰く、楊貴妃が好んで飲んでいたとも言われているようです。
桂花陳酒を自分の飲みやすい濃さに、お湯割りして飲みます。
食材
キンモクセイ
体を温める作用があり、お腹の冷えを解消するので、下痢、腹痛、食欲不振にいいです。
また気の巡りをよくし、血の滞りを改善する作用もあります。
ストレス、お腹の張り、ゲップ、肩こり、生理痛にいいです。
痰を出しやすくする作用もあり、喉がいがいがする時にもおすすめです。
キンモクセイの甘い香りには口臭を抑える作用があります。
白ワイン
お酒は「百薬の長」とも言われ、古代中国では薬として使われていました。
体を温める作用があり、冷えによる体の機能低下を解消し、気・血・水を活発に流す作用があります。
ただし飲みすぎると、体内のバランスが崩れてしまうため「万病のもと」にもなりかねません。
お酒はそれぞれに効能がありますが、ワインにはリラックス作用があります。
韮と油揚げの炒め物
作り方
韮と油抜きした油揚げを炒め、塩で味を調整します。
食材
韮
韮には体の熱となる陽を補う働きがあり、別名「気陽草」と呼ばれています。
冷えて弱くなった五臓の機能を、温めることで回復へと導きます。
とくに、脾と胃に作用するので、冷えが引き起こす腹痛、下痢、便秘、消化不良の改善にいいです。
また血の巡りを活発にするので、肩こり、肌のくすみ、目の下のクマ、生理痛、血栓の予防にもおすすめです。
体が冷える冬の時期に、積極的に食べたい食材です。
腎を補う作用もあるので、耳鳴り、腰や膝のだるさ、アンチエイジングにもいいです。
まとめ
月経の不調といえば、下腹部痛、PMS、月経周期の乱れ等がありますが、これらは血の異常に気・水のバランスに乱れが加わった状態です。
また肝、腎も深く関わっています。
そんな月経の不調時には、ストレスを発散する、偏食をしない、ゆったりと過ごすといったことが大事です。
生理中は体の老廃物を出すデトックスの時です。
充電期間と考えて、自分の身体を大事にしてあげましょう。