月経の不調、大丈夫ですか?生理痛・PMS、自宅でできる薬膳

  1. ホーム
  2. 普段使いの薬膳レシピ
  3. 月経の不調、大丈夫ですか?生理痛・PMS、自宅でできる薬膳

月経の不調、ただ我慢するしかないなんて思っていませんか?

生理中だけではなく、生理前までも悩まされる症状ですが、本来こういった症状がないことが正常と考えられています。

月経の不調は体の不調です。

今回はそんな女性の身近な症状、月経の不調についてご紹介いたします。

young woman with lily against blue sky
Photo by Elijah O’Donnell on Pexels.com

「月経の不調」とは

正常な月経とは

本来、生理痛がないことが正常と考えられています。

周期が28日前後(21~35日は正常範囲)、整理期間は3~7日(4~5日の人が多い)、量は多い日は長時間のナプキンで2時間を過ごせる程度、色は赤く、粘り気がなく、レバー状のものがない状態が正常と言われています。

「月経の不調」症状

月経の不調といえば、下腹部痛、PMS、月経周期の乱れ等がありますが、これらは血の異常に気・水のバランスに乱れが加わった状態です。

生理前の不調、PMS(月経前症候群)とは、生理の1~2週間くらい前から、頭痛、眠気、便秘、下腹部や乳房の張りなどの身体的な不快とイライラ、憂鬱、情緒不安定など精神的な不快が現れることです。

「月経の不調」原因

生理痛は、子宮内膜や骨盤内に生じた血の異常によって発生します。

また肝、腎も深く関わります。

月経2週間前頃から生じるホルモン量の増加によって、体に水を貯蓄させる働きが強まるため、むくみなどの水毒症状や気滞によるイライラ等が出現します。

PMSはホルモンバランスの乱れが原因と言われますが、東洋医学では気の不調が原因とします。

「月経の不調」代表的なタイプ

①血の異常タイプ

血虚、血瘀など血の異常がみられるタイプです。

血虚の人は冷え性で痩せ型、疲れやすいです。

月経血が黒かったり、血の塊が多い人は瘀血タイプと考えられ、月経痛のほか、下腹部の膨満感や便秘が生じやすく、肌荒れやにきびなどもみられます。

②水毒タイプ

水分代謝が悪く、月経前にむくみがみられるほか、頭痛や冷えなどの症状を伴います。

月経2週間前頃から黄体ホルモン量が変化し、体に余分な水分を貯留させるため「水毒」な状態になります。

この時期は胃腸を冷やすと症状が悪化するので、注意が必要です。

③気滞タイプ

イライラしたかと思うと、突然うつうつし、気力がなくなるような不安定な精神症状が見られるタイプです。

気逆、気滞が複合的に生じ、気分の浮き沈みが特徴です。

月経前・排卵期が最も気が滞りやすい時期になるため、精神的な乱れが顕著になります。

④気虚・陽虚タイプ

気が不足することで体が温められずに冷えてしまい、血の巡りが悪くなることで、経血量が少ないもしくは多くなる、周期が早まる、不正出血があるといった症状が出ます。

他にもやる気が起きない、風邪を引きやすい、手足の冷え、食後すぐに眠くなる、胃下垂などの症状もあります。

⑤冷え・陽虚タイプ

体を温める気が少ないなど、体が冷えることで、血が巡らず、痛みとなります。

手足の冷え、顔色が青白い、温かいものを飲みたがる、軟便、下痢、尿量が多く色が薄いといった症状があります。

⑥暑がりタイプ

湿と熱があることで気、血の巡りが悪くなり、痛みとなります。

灼熱感があり、激しい痛みで、温めるとさらに痛みが悪化します。

口渇、顔色が赤い、目が赤い、便秘、皮膚の炎症等の症状があります。

⑦肝タイプ

肝は血を貯蔵する働きがあり、生理に関係が深い臓です。

下腹部の両脇の痛みや胸が張ると言った症状があります。

またイライラ、足がつる、目の症状、頭痛、肩こりなど張るような痛み、ストレスで悪化などの症状もあります。

⑧腎タイプ

腎は生殖に関する働きを担っているため、生理に関係が深い臓です。

下腹部から腰にかけて痛みがあります。

腹痛、足腰がだるい、耳の症状、老化がはやい、むくみなどの症状があります。

対処法

月経の不調には

生理中は体の老廃物を出すデトックスの時です。

ゆったりと過ごすことで、気、血の消耗を少なくし、気持ちもゆったりとさせて、ストレスをためないようにすることで痛みも軽減します。

腰回りの血流をよくするのに、日頃から骨盤回しをするのもおすすめです。(ただし生理中は控えてください)

偏食すると気、血をつくることができなくなるばかりか、寒熱のバランスが崩れやすくなります。

日頃の食事内容をみなおすだけでも改善させます。

食養生

①血の異常タイプ

→血の巡りを高める 温熱・辛味の食材

玉ねぎ、エシャロット、イワシ、秋刀魚など

②水毒タイプ

→利尿効果の高い食材

大根、アサリ、冬瓜など

寒涼性のため、煮たり、汁物にする等、温かく調理して食すのがいいです。

③気滞タイプ

→気の流れを改善する食材

三つ葉、春菊、柑橘系など

香り成分に富む食材がいいです。

④気虚・陽虚タイプ

→気を補う食材

うるち米、もち米、山芋、サツマイモ、大豆等

⑤冷え・陽虚タイプ

→体を温める食材

くるみ、鶏肉、黒砂糖、鮭、玉ねぎ、生姜等

⑥暑がりタイプ

→体の熱を冷ます食材

アサリ、蟹、昆布、のり、ひじき等

⑦肝タイプ

→肝の働きを助ける食材

いちご、枸杞子、うなぎ、ししゃも、鰻など

→イライラや頭痛など肝の働きが亢進している時に

菊花、アロエ、ししとう、穴子、ピーマン、トマト等

⑧腎タイプ

→腎の働きを助ける食材

黒米、小麦、黒ごま、豚肉、キャベツ等

自宅でできる薬膳

お義母さんに教えていただいた薬膳をご紹介致します。

私のお義母さんは中国出身で、薬膳の知識を生かした中国料理店も営んでいます。

そんなお義母さんが作ってくれる料理は、温かい家庭の味と、先祖代々受け継いだ知識が詰まっています。

今日はそんなここならではの秘伝のレシピについて、ご紹介いたします。

桂花陳酒のお湯割

一般的な「桂花陳酒」は、白ワインにキンモクセイのお花を3年漬けてできた混合酒のことを言います。

お義母さん曰く、楊貴妃が好んで飲んでいたとも言われているようです。

桂花陳酒を自分の飲みやすい濃さに、お湯割りして飲みます。

食材

キンモクセイ

体を温める作用があり、お腹の冷えを解消するので、下痢、腹痛、食欲不振にいいです。

また気の巡りをよくし、血の滞りを改善する作用もあります。

ストレス、お腹の張り、ゲップ、肩こり、生理痛にいいです。

痰を出しやすくする作用もあり、喉がいがいがする時にもおすすめです。

キンモクセイの甘い香りには口臭を抑える作用があります。

白ワイン

お酒は「百薬の長」とも言われ、古代中国では薬として使われていました。
体を温める作用があり、冷えによる体の機能低下を解消し、気・血・水を活発に流す作用があります。

ただし飲みすぎると、体内のバランスが崩れてしまうため「万病のもと」にもなりかねません。

お酒はそれぞれに効能がありますが、ワインにはリラックス作用があります。

韮と油揚げの炒め物

作り方

韮と油抜きした油揚げを炒め、塩で味を調整します。

食材

韮には体の熱となる陽を補う働きがあり、別名「気陽草」と呼ばれています。

冷えて弱くなった五臓の機能を、温めることで回復へと導きます。

とくに、脾と胃に作用するので、冷えが引き起こす腹痛、下痢、便秘、消化不良の改善にいいです。

また血の巡りを活発にするので、肩こり、肌のくすみ、目の下のクマ、生理痛、血栓の予防にもおすすめです。

体が冷える冬の時期に、積極的に食べたい食材です。

腎を補う作用もあるので、耳鳴り、腰や膝のだるさ、アンチエイジングにもいいです。

まとめ

月経の不調といえば、下腹部痛、PMS、月経周期の乱れ等がありますが、これらは血の異常に気・水のバランスに乱れが加わった状態です。

また肝、腎も深く関わっています。

そんな月経の不調時には、ストレスを発散する、偏食をしない、ゆったりと過ごすといったことが大事です。

生理中は体の老廃物を出すデトックスの時です。

充電期間と考えて、自分の身体を大事にしてあげましょう。