秋の空が高く澄んでくると同時に、なんとなく気持ちが沈んだり、焦りや不安を感じたりすることはありませんか?
東洋医学では、秋は「肺」と深く関わる季節とされますが、同時に「心(しん)」のバランスも崩れやすくなる時期です。乾燥や気温の変化によって体の“潤い”が不足し、精神的にも不安定になりやすいのです。
今回はそんな秋の不安感を和らげ、心を穏やかに整える「薬膳スープ」をご紹介します。
🌸東洋医学の視点からみる「秋の不安」
秋は「陰陽転化」の季節。陽気が収まり、陰気が増すため、自然界のエネルギーは内へと向かいます。
この時期に無理をしたり、十分な睡眠をとらなかったりすると、「心陰虚(しんいんきょ)」と呼ばれる状態になり、不眠や焦燥感、胸のドキドキなどが起こりやすくなります。
また、肺と心は五行で「金」と「火」に属し、火(金)克関係にあります。乾燥によって肺が弱まると、心にも負担がかかり、精神の安定が乱れやすくなるのです。
🍠秋の不安をやわらげる食材
心を整えるには、「潤い」「気血の補い」「神(しん:心の働き)の安定」がキーワードです。
おすすめの食材は以下の通りです。
- 蓮の実(れんこんの種):心を養い、イライラを鎮める
- 百合根(ゆりね):心陰を補い、不安や不眠を和らげる
- 大棗(なつめ):気と血を補い、精神を安定させる
- 黒ごま:潤いを与え、肝・腎を補って心の安定をサポート
- 鶏むね肉:消化にやさしく、気を補うたんぱく源
🍲レシピ:心を落ち着ける薬膳スープ
材料(2人分)
- 鶏むね肉 … 100g
- 百合根(生または乾燥) … 20g
- 蓮の実(乾燥) … 15g(あらかじめ1時間ほど水戻し)
- 大棗(なつめ) … 2個
- クコの実 … 小さじ1
- 生姜スライス … 2枚
- 水 … 600ml
- 塩 … 少々
作り方
- 鶏むね肉を一口大に切る。
- 鍋に水と生姜を入れ、鶏肉・蓮の実・大棗を加えて火にかける。
- 沸騰したらアクをとり、弱火で20分ほど煮る。
- 百合根を加えてさらに10分煮、最後にクコの実を加えてひと煮立ち。
- 塩で味をととのえたら完成。
やさしい甘みとまろやかな香りが心をほっと落ち着けてくれます。
🧘♀️生活養生のポイント
- 寝る前のスマホやテレビを避け、「陰」を養う時間を意識的に持つ。
- アロマでは、ラベンダーやサンダルウッドなど“心火”を鎮める香りがおすすめ。
- 軽いストレッチや深呼吸で、胸の気をめぐらせると気分の落ち込みが和らぎます。
💬まとめ
秋の不安感は、心の「潤い不足」からくるサインでもあります。
身体の内側からやさしく整える薬膳スープを取り入れて、心身をゆっくりと“秋仕様”に切り替えていきましょう。




