白いブーケのようなカリフラワー。付け合わせに便利な野菜ですが、その真っ白な色から、あまり栄養があるようには見えませんね。とはいえ、少し前にはカリフラワーライスとして健康を意識する方たちの間で流行ったのも、記憶に新しいところです。今回はそんなカリフラワーにどのような栄養があり、薬膳ではどのように解釈されているのか、美味しいレシピなどをご紹介します。

カリフラワーの原産地や特徴とは?
カリフラワーはヨーロッパから中近東辺りが原産地で、ケールやブロッコリーなどから突然変異によって生まれたのではないかとされています。が、詳しいことは確認されていません。
中世になってヨーロッパで品種改良が進み、広く普及しました。日本には明治時代に持ち込まれたようですが、当時は普及することはありませんでした。戦後、食の欧米化とともに再度持ち込まれてから、時間をかけて私たちの食卓に上るようなり、現在に至っています。
私たちが食べているのはつぼみの部分で、花蕾といいます。より白く仕上げるために回りの葉を寄せ集め、ひもで結わえて太陽光が当たらないようにして白く栽培されていますが、本来はほんのりと黄色味を帯びているということです。
近年になって、紫色やオレンジ、黄緑色など、とてもカラフルなカリフラワーが作り出され、食卓をカラフルに彩ることができるようになりました。紫色のカリフラワーはアントシアニン、オレンジのものはβカロテン、黄緑色のものはビタミンCを、白いものよりも多く含んでいます。
また、大きな塊ではなく、スティック状に育ち、花蕾がかすみそうのように細かく分かれて付く、調理しやすいものも作り出されています。
その色は調理してもさほど薄くなることはないため、上手に利用してカラフルな食卓を楽しみたいですね。
購入するときは花蕾の部分が固く締まっており、こんもりと高く盛り上がっているもの、持ってみてずっしりと重みを感じ、周りの葉や軸の切り口が瑞々しいものを選びましょう。
カリフラワーは軸を落とし、まずは軸のみに十字に切り込みを入れて開くようにして切り分けます。そのあと枝分かれしている軸を一つずつ切り離すことで、パラパラとばらけることなく切り分けることができます。
塩又は酢を少々加えた熱湯で茹でますが、1分ほどさっと茹でるとサクサクとした食感が、2分ほどでホクホクした食感が楽しめます。
数種のカリフラワーをまとめて購入し、一度に食べきることができない場合は冷凍保存することができます。食べるときに再度加熱することを考え、冷凍保存するものは茹で時間1分で、さっと切り上げましょう。
そのあと、しっかりと水分を切って冷ましてからラップフィルムに包み、ファスナー付きの保存袋に入れて、冷凍庫で2週間程度保存することができます。
カリフラワーの栄養
- カリウム
カリウムには、私たちが取り過ぎたナトリウムを体外へと排せつする働きがあります。この働きにより、ナトリウム濃度を調整するために過剰に溜まった水分を排泄してむくみを解消したり、血圧を下げたりする働きがあります。
- ビタミンC
ビタミンCは私たちの細胞同士をつなぎ合わせているコラーゲンの生成や、メラニン色素の合成を防ぐ働きがあります。また、抗酸化力が強く、血管や細胞が活性酸素で傷つくのを防いでくれます。
- ビタミンB6
ビタミンB6はたんぱく質の代謝を促したり、たんぱく質からエネルギーを作り出したりする働きがあります。また、神経伝達物質の合成を助けています。
- グルコシノレート
カリフラワーには、グルコシノレートという成分が含まれています。これは体内でイソチオシアネートという成分に変化します。イソチオシアネートはわさびや芥子菜、キャベツ、ブロッコリーなど、アブラナ科の植物に含まれる成分で、強い抗酸化作用、殺菌作用を持っています。
- 葉酸
葉酸は細胞分裂を正常に行う働きがあります。そのため、細胞分裂が盛んな胎児にはとても大切なビタミンで、妊娠初期の女性は特に意識して摂取する必要があります。
また、ビタミンB12とともに赤血球の生産を助けています。成人の場合は不足すると脳卒中や心筋梗塞など循環器系の疾患を起こしやすくなるといわれています。
- 食物繊維
食物繊維には、血糖値の上昇を抑え、血液をサラサラにする働きがある水溶性のものと、水分を抱え込み、便のかさを増やして便秘解消に効果的な不溶性の2種類があります。
カリフラワーには、不溶性の食物繊維が多く含まれています。
薬膳で考える こんな時にカリフラワーがおすすめ
中医薬膳学ではカリフラワーを下記の通り定義しています。
性味 | 帰経 | 効能 | 適応 |
甘/平 | 脾 腎 胃 | 健脾 和胃 補腎 強筋骨 | 胃腸虚弱 胃もたれ |
『現代の食卓に生かす「食物性味表」」日本中医食養学会編纂より
胃腸が疲れ、食欲が出ないとき
薬膳では、カリフラワーには疲れた胃の働きを整え、消化吸収能力を高める働きがあるとされています。もとより虚弱体質の方、季節のイベントなどで暴飲暴食し、胃腸の調子が良くない方にも優しい野菜です。
このような時には柔らかく茹でて、塩分を控えめにしたポタージュスープなどがおすすめです。
体を鍛え、筋肉をつけたいとき
薬膳では、カリフラワーには骨や筋肉を強くする働きがあることが知られていました。これは栄養学でいうところのビタミンB6のたんぱく質の代謝を司る、という働きに由来するのかもしれませんね。
筋肉をつけたい場合は、良質のたんぱく質を含む卵や肉類、魚介類を使った料理の付け合わせなどに利用するのがおすすめです。
カリフラワーレシピ
カリフラワーとサラダチキンのマヨネーズ和え
淡白なカリフラワーは、濃厚なマヨネーズととても相性が良いです。今回は同様に淡白なサラダチキンを合わせ、水切りヨーグルトとマヨネーズのソースの旨みをプラスして、薬膳でいうところの「強筋骨」向きのレシピに仕上げました。
サラダチキンの代わりにツナの缶詰を利用しても、手軽でよいですね。
【材料】 2人分
・カリフラワー・・・1/2株(約100g)
・スナップエンドウなど・・・適宜
・サラダチキン・・・1個
・ヨーグルト・・・100cc
・マヨネーズ・・・大さじ2
・塩・・・ひとつまみ
・こしょう・・・適宜
・お好みでクルトン、ドライパセリ、パルメザンチーズなど・・・各適宜
【作り方】
- ザルや茶こしにキッチンペーパーを敷き、ヨーグルトを入れて2時間程度、冷蔵庫で水切りしておきます。
- カリフラワーは上記「カリフラワーの原産地や特徴とは?」の項を参考に小房に分け、好みの茹で加減に茹でておきます。スナップエンドウは筋を取り、塩少々(分量外)を入れた熱湯で2分茹で、斜め切りにしておきます。
- サラダチキンは食べやすいサイズに手でほぐしておきます。
- ボールに①の水切りヨーグルトを入れてゴムベラなどでなめらかに練り戻し、マヨネーズ、塩、こしょうを加えてよく混ぜ、味を調えてソースを作っておきます。
- ④のボールに②のカリフラワーとスナップエンドウ、サラダチキンを加えてよく和えます。
- 器に盛り、お好みでクルトンやドライパセリ、パルメザンチーズなどを散らします。
まとめ
モコモコとした形もかわいいカリフラワー。小さな子供には、ブロッコリーやにんじんとともに同じようなサイズに切り、色とりどりなサラダにしてあげても食べやすいですね。
淡白なカリフラワーはチーズなどの乳製品、マヨネーズやみそ、練りごまなどと、とても相性が良いです。いろいろなアレンジを楽しんでくださいね。