風邪は、誰もが一度はかかったことのある病気ではないでしょうか?季節の変わり目や、疲れが溜まっているときには風邪もひきやすくなります。とくに、最近はさまざまな環境の変化で疲れていたりする人も多いのが現状です。
なんとなく風邪のような症状が現れたり、風邪のひき始めであれば、病院には行かずに済ませたいところ。薬膳を取り入れて風邪の症状を改善してみましょう。
今回は、風邪のときに摂りたい食材と、簡単に作ることができるおすすめの薬膳レシピを紹介したいと思います。

風邪とは
私たちが普段言葉にしている「風邪(かぜ)」とは、もともと中医学の邪気の一つである「風邪(ふうじゃ)」から来た言葉です。
自然界には6つの邪気があり、風邪(ふうじゃ)、寒邪(かんじゃ)、暑邪(しょじゃ)、湿邪(しつじゃ)、操邪(そうじゃ)、火邪(かじゃ)あるいは熱邪(ねつじゃ)に分けられています。いずれも外因的なもので、気候の変化などによってもたらされるものです。
これらの邪気が、体力の低下などと合わさることで、さまざまな症状となって現れます。
感冒にタイプなんてあるの?風邪(かぜ)は風邪(ふうじゃ)のこと??
では、風邪(かぜ)とはこのなかでいう風邪(ふうじゃ)のことでしょうか?
一般的に使われる風邪(かぜ)は、医学的には感冒(かんぼう)と言われています。感冒は中医学では大きく分けると「風寒証」、「風熱証」、「暑湿証」、「寒湿証」、さらに、邪気には該当しない「虚証」などに分けることができます。
【感冒のおもなタイプ】
風寒証 | 風邪(ふうじゃ)と寒邪(かんじゃ)の組み合わせ |
風熱証 | 風邪(ふうじゃ)と熱邪(ねつじゃ)の組み合わせ |
暑湿証 | 暑邪(しょじゃ)と湿邪(しつじゃ)の組み合わせ |
寒湿証 | 寒邪(かんじゃ)と湿邪(しつじゃ)の組み合わせ |
虚証 | 抵抗力の程度によって起こる |
このように、風邪(ふうじゃ)は風邪(かぜ)の原因となる邪気の一つであることがわかります。
風邪(ふうじゃ)は、風が身体のなかに邪気として入ることですが、風は一年中吹くことから、寒邪や熱邪などと合わさり、一年を通してさまざまなタイプの風邪(かぜ)となって現れるのです。
多くの風邪(かぜ)は、風邪(ふうじゃ)が原因となる風寒証や風熱証に分けられています。これらが、一般的に使われている「風邪(かぜ)」という言葉が中医学の風邪(ふうじゃ)から来ている所以(ゆえん)と言えるでしょう。
ここでは、とくに風邪(かぜ)としての症状の多い、風寒証と風熱証におすすめの食材や、薬膳レシピを詳しく紹介したいと思います。
風寒証
まず初めに紹介するのは、風寒証という風邪(かぜ)のタイプ。風寒証は風邪(ふうじゃ)と寒邪が合わさって起こる風邪(かぜ)です。
頭痛やさらさらとした水のような鼻水、冷えなどの症状が特徴で、冬や春の始めに多い風邪(かぜ)です。また、風寒証は「風寒邪気」とも呼ばれています。
おすすめの食材
風寒証の風邪(かぜ)には、生姜や葱、白菜や鶏肉、さらにりんごやシナモンを使った薬膳がおすすめです。
これらの食材には発汗作用があり、肺、脾、胃を温めて咳を止める効果が期待できます。
薬膳レシピ
身体を温める薬膳を積極的に摂って風寒邪気を払いましょう。心も身体も温まってほっとする薬膳レシピの「鶏肉と葱の生姜鍋」と「りんご煮」を紹介したいと思います。
鶏肉と葱の生姜鍋 1~2人分
【材料】
鶏もも肉 100g
長ネギ 1/3本
白菜 1枚
生姜 1かけ
鶏がらスープの素 大さじ1/2
水 400ml
塩 少々
【作り方】
- 生姜は皮をむいて千切り、長ネギは斜め薄切り、白菜と鶏もも肉はひと口大に削ぎ切りにして、白菜は葉の部分と芯の部分に分けておきましょう。
- 小さめの鍋で湯を沸かし、鶏もも肉、長ネギ、白菜の芯の部分を入れて煮込みます。
- 鶏もも肉に火が通ったら、鶏がらスープの素、生姜、白菜の葉の部分を入れてさらに2~3分煮込みます。
- 最後に塩で味を整えて完成です。
りんご煮 2人分
【材料】
りんご 1個
砂糖 20g
シナモンパウダー 少々
【作り方】
- りんごは6等分のくし形に切り、皮と芯を取ります。りんごは季節に合わせて旬のものやお好みの品種を使って作りましょう。紅玉なら、皮を一緒に煮ると鮮やかな紅色に仕上がりますよ。
- 鍋に①のりんごを並べ、砂糖を加えて鍋を軽く振ります。りんご全体に砂糖が行き渡るようにしましょう。
- りんごから水気が出るまで30分ほど放置します。
- りんごから水気が出たら、りんごがひたひたになる程度に水を加え、中火にかけます。
- 水分が少し残る程度まで煮たら、シナモンパウダーを入れてりんごに絡め、火を止めて完成です。
砂糖が少ないのでそのままでも食べやすいりんご煮ですが、日持ちはしないので2~3日中には食べきるようにしましょう。
風熱証
次に紹介するのは、風熱証という風邪(かぜ)のタイプ。風熱証は風邪(ふうじゃ)と熱邪が合わさって起こる風邪(かぜ)です。
熱や炎症による喉の痛み、濃く黄色い鼻水などの症状、軽度の悪寒が特徴で、夏や春に多い風邪(かぜ)です。また、風熱証は「風熱邪気」とも呼ばれています。
おすすめの食材
風熱証の風邪(かぜ)には、葛や大根がおすすめです。これらの食材は、熱を冷まして炎症を抑える効果が期待できるため、薬膳でもよく取り入れられています。
薬膳レシピ
熱などで身体がきついときに、起きて料理をするのはなかなか大変です。家族に作ってくれる人がいれば良いですが、一人暮らしなどの場合、誰かに作ってもらうのは困難でしょう。
そのようなときに、自分でも作れる簡単薬膳レシピの「葛湯」と「大根のはちみつ漬け」の作り方を紹介したいと思います。
葛湯 1人分
【材料】
葛粉 10g
水 100㏄
【作り方】
- マグカップ(または湯飲み)はあらかじめ熱湯(分量外)を注ぎ、温めておきます。
- 湯を捨て、葛粉を入れて少量のぬるま湯(分量外)で溶きます。
- 水100㏄を沸かし、②のなかに一気に入れてよく混ぜましょう。
- 半透明になり、トロッとしたら完成です。
- 白濁したままで半透明にならない場合は、レンジでさらに温めましょう。粘性の高い葛湯は、長時間温めると突沸の恐れがあるので少しずつ様子を見て、ときどきかき混ぜながら加熱します。
お好みで最後に砂糖を加えると飲みやすくなるのでおすすめですよ。
大根のはちみつ漬け 2~3日分
【材料】
大根 100g
はちみつ 50g
【作り方】
- 大根は皮をむき、サイコロ状に切ります。
- ①の大根を保存容器に入れ、はちみつを加えます。使用する保存容器は煮沸消毒するか、アルコールで拭いておくと食品が傷みにくく安心です。
- 混ぜて馴染ませて、常温で4時間以上放置します。
- 大根からしっかり水が出てきたら完成です。出来上がったら冷蔵庫で保存し、3日以内には消費するようにしましょう。
大根から出たエキスが染みたはちみつを、お湯などで割って飲むのがおすすめ。そのままスプーンにとってなめても良いでしょう。あまった大根は、スープなどの料理に使うと無駄なく消費することができますよ。
まとめ
風邪(かぜ)は邪気の組み合わせによっていくつかのタイプに分けられ、その多くは季節によって変化があることがわかりました。風寒証と風熱証は、真逆のような症状であるため、食べる薬膳も反対の効果があるものを選ばなければいけません。
薬膳の効能を正しく知り、それぞれの風邪(かぜ)に合う薬膳を選ばなければ、かえって症状が悪化することもあります。
しっかり食材の効果・効能を理解して、薬膳を日々の生活に取り入れていきましょう。
風邪をひきそうな時のやな感じ、そんな時には葛根湯がおすすめです。風邪の症状が本格化するまえのちょっと変だなというそのときに温かいお湯と一緒に葛根湯を飲んで暖かくして寝ると次の日にはすっきりしているはずです。