<まだまだあります!冬におすすめの食材>
前回、冬に食べて頂きたい食材について、生姜とシナモンを紹介させて頂きました。
今回も引き続き冬におすすめの食材を薬膳の観点から紹介致します。

冬の食養生のコツをおさらいしましょう。冬は、寒邪により身体が冷えやすくなるという特徴があります。そのため辛味や甘味、温性をもつ食材を取り入れ寒邪を取り除く必要があります。また、冬は腎と脾が消耗しやすいとされているため、それぞれを補う必要があります。
今回は「腎」を補う食材を紹介させて頂きたいと思います。
<「腎」について>
中医学において「腎」には、両親から受け継いだ先天の気が蓄えられているとされており、これは先天の腎精とも言われています。成長や生殖にかかわる最も根源的な基礎となり、老化とも深く関係しているとされています。腎を補うことでアンチエイジングにもつながると言えるでしょう。
「腎」を補う食材=腎に帰経する食材ということになります。例えば、黒ゴマ・クコの実・長芋・すっぽん・なまこ・羊肉・うなぎ・胡桃・ニラ・海老・栗・ぶどうなどがあります。
一般的に薬膳では黒色の食材が腎を補うとされています。
それでは、今回はこの中からニラと海老を紹介させて頂きます。
<冬に食べたい食材>
◎ニラ
独特な香りと鮮やかな緑色をしている野菜で、餃子やラーメン、炒め物などで
よく使われていますね。この独特な香りはアリシン(硫化アリル)と呼ばれるネギ類に
共通して含まれる成分に由来しています。アリシンはビタミンB1の吸収率を向上させると言われています。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える働きがあるため、アリシンとビタミンB1を一緒に摂ると効率よくエネルギーを作ることができるようになります。そのため、以下の健康効果でも述べる疲労回復や食欲増進といった効果が期待できるのです。
・産地:原産は東アジアで、中国では紀元前から栽培されたと言われています。
日本へは中国から伝わりました。
全国的に栽培されていますが、日本での主な産地は高知県と栃木県です。
・性味帰経:温・辛・腎・胃・肺・肝
・薬効成分:βカロテン、ビタミンC、アリシン、カルシウム、カリウム、
葉酸、食物繊維
・効能:補腎、温中、散瘀、解毒
・健康効果:疲労回復、食欲増進
抗がん作用(高い抗酸化作用があるためがんの予防効果が期待されています。)
血行促進作用(血流が良くなることで、顔色がよくなる、目の下のクマが
解消されるなどの効果があるとされています。)
・旬:11~3月に収穫される冬ニラと4月~10月の間に収穫される夏ニラがあります。
ニラ入り鶏ハンバーグ
☆材料(2人分)
ニラ 1/2束(=約100g)
鶏ひき肉 200g
醤油 小さじ1(=6g)
おろし生姜 小さじ1/2
溶き卵 1/2個分
片栗粉 大さじ2(=18g)
白いりごま 大さじ1/2(あれば)
サラダ油 大さじ1(=12g)
塩・コショウ 少々
みりん 大さじ1(=18g)
醤油 大さじ1(=18g)
酒 大さじ1(=15g)
砂糖 小さじ1(=3g)
☆作り方
①ニラはみじん切りにします。
②ボウルに鶏ひき肉と醤油、おろし生姜、塩・コショウを入れて粘り気が出るまで混ぜます。溶き卵、ニラ、ゴマを加えてさらに混ぜ、片栗粉を加えてよくなじませます。
四等分にし、丸く成形します。
③フライパンにサラダ油を熱し、②を焼きます。焼き色がついたら裏返し、ふたをして
中まで火が通るまで焼きます。火が通ったら一度取り出します。
④フライパンの余分な脂をふき、みりん、醤油、酒を入れて煮立たせます。
とろみがついたら③を戻してソースを絡めて完成です。
ポイント⇒肉類はビタミンB1が多く含まれていますので、ニラと一緒に食べるとより吸収率が高くなりますよ。今回は鶏肉を紹介していますが、肉類の中では豚肉が特にビタミンB1が多く含まれていますので、餃子はスタミナアップができる食べ物と言えるでしょう。
◎海老
・産地:日本をはじめ、アメリカやオーストラリアなどが知られています。
・性味帰経:微温・甘・肝・胃・腎
・薬効成分:カルシウム、たんぱく質、タウリン、鉄
・効能:補腎助陽、通乳、托毒※
・健康効果:冷え性予防(体を温めるため足腰の冷えに効きます。)
成長促進
(腎陽虚によるED、不妊症、出産後の母乳不足に効果があるとされています。)
抗酸化作用
(コレステロールが血管につくのを予防する効果が期待されています。)
・旬:5月~11月と言われています。
・レシピ:海老ピラフ、魚介のチヂミ
☆材料(2~3人分)
米 2合
コンソメ顆粒 小さじ1(=3g)
むき海老 200g
玉ねぎ 1/2個
マッシュルーム(缶) 1缶
酒 大さじ2(=30g)
バター 大さじ2(=24g)
塩・コショウ 少々
パセリ(みじん切り) 少々(あれば)
☆作り方
①米を研いで水を切っておきます。
②フライパンにバターを入れ溶けてきたら玉ねぎを加え、しんなりするまで炒めます。
③②にむき海老を加えてさっと炒め、塩・コショウで味付けします。マッシュルーム、酒を加えて炒め合わせます。
④③で出た煮汁を炊飯器に入れ、水を2合の線まで入れ通常通り炊飯します。
ご飯が炊きあがったら、そこに③の具材を混ぜてパセリを散らして完成です。
ポイント⇒炊飯するときの水の量をほんの少し減らすと、よりパラパラしたピラフが出来上がります。また、④で炊き上がったご飯をフライパンの中に入れて、分量外のバター(小さじ2程度)と具材と一緒に炒めると、こちらもパラパラとした食感が出ます。
酒ではなく同量の白ワインを使用するとより本格的なピラフを作ることができますよ。
むき海老がなければ、冷凍のシーフードミックスを使っても良いですね。
是非ご家庭でお好きな味を作ってみてくださいね。
もう一品、ご家庭でできるレシピをご紹介します。こちらは、先ほど挙げたニラと海老を使ったチヂミのレシピです。
☆材料(2人分)
むき海老 10尾
イカ 60g
玉ねぎ 小1玉
ニラ 1/2本(=約100g)
卵 1個
薄力粉 100g
醤油 小さじ1(=6g)
砂糖 小さじ1/2(=1.5g)
水 120ml
塩・コショウ 少々
ごま油 大さじ1(=12g)
(チヂミのたれ)
醤油 大さじ1(=18g)
砂糖 小さじ1(=3g)
酢 大さじ1(=15g)
ごま油 小さじ1(=4g)
☆作り方
①海老、イカは1㎝角に切ります。玉ねぎは薄切りにし、ニラは5㎝の長さに切ります。
②ボウルに卵、薄力粉、醤油、砂糖、水、塩・コショウを入れてよく混ぜ合わせ、
- を加えてさらに混ぜます。
- フライパンにごま油を熱し、②を入れて薄く広げ焼きます。
- 焼き色がついたら裏返し、裏面も焼きます。切り分けて器に盛り完成です。
- タレは材料を混ぜ合わせたら完成です。お好みでつけて食べてください。
ポイント⇒ホットプレートでも焼くことができます。
約240℃に熱したホットプレートで大きめに焼いてみても良いですね。
タレを作るのが面倒なときは、ポン酢で代用することができます。
辛い味がお好きな方はタレにコチュジャンを加えてみるのもおすすめです。
<終わりに>
いかがでしたでしょうか。今回は腎を補う食材についてお話させて頂きました。
腎を補いスタミナを蓄えて、元気に冬を乗り越えていきたいですね。
もちろん、体を温めることも必要ですので温かいものは積極的に摂っていきましょう。
次回は「脾」を補う食材について紹介致します。お楽しみに。
※托毒とは、正気が不足して排膿が十分に行われないときに薬の力で熱や毒を包み込んで排膿を促進することを言います。