中医学的、老化による記憶力低下とは 腎のケア

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記憶力低下に対処するために私たちが今からできることとは?

記憶力低下…年齢を重ねれば誰でも経験するとも言える、この症状。

私たちはただその記憶力が低下する状況を受け入れるしかないのでしょうか。

あるいは、この記憶力低下に対処するために私たちが今からできることはあるのでしょうか。

この記事では記憶力低下の原因の中でも、とくに老化によるものを取り上げご紹介いたします。

それでは記憶力低下について、具体的にどんな症状か確認しましょう。

腎精の減少と記憶力低下

記憶力低下の原因の一つとして考えられるのは、後天の精の不足によるものです。

これは高齢の方に多いタイプで、老化によって腎の機能が低下し、脳へのエネルギーが不足することによって引き起こされます。

脳とは

まず記憶力低下で、真っ先に考えるものがあるとすれば脳ですよね。

脳は、骨の中にある「髄」が集まったものと考えられていて、「髄海」と呼ばれています。

そして、この「髄」は精からできていると考えられています。

精とは

では精とは何でしょうか。

精とは生命活動の最も根本的な物質となるものです。

先天の精と後天の精

精には先天の精と後天の精の二種類があります。

まず先天の精とは、父親の精と母親の精が合体した先天的なもので、両親から受け継いだものです。

先天の精は腎に蓄えられています。

そして後天の精とは、飲食物など得られるもので、食物を消化吸収する脾と胃の働きによって作られ、腎に蓄えられます。

腎精の働き

この先天の精と後天の精が合わさったものを腎精といいます。

では腎精はどのような働きをするのでしょうか。

腎精は生殖に関わる機能など、さまざまな機能がありますが、その中でも成長に関わる働きが記憶力低下と深く関わりがあります。

この成長に関わる働きは、主に骨や歯の発育、腎の生成、脊髄や神経、大脳機能を健全に保つ等の働きをしています。

腎精の減少

腎精は飲食物が不足したり、脾胃の不調によって、後天の精が生成できないと減少してしまいます。

またそれに合わせて年齢によって先天の精が減退していくことでも腎精は減少します。

腎精の減少による症状

それでは腎精が減少するとどうなるのでしょうか。

それは年齢によって症状が異なります。

幼少時であれば発育や二次成長の遅れ、小児喘息などの症状がでます。

高齢の場合、腎の機能低下、生殖機能の低下、骨粗鬆症、物忘れや頻尿と言った老化現象が生じます。

腎精の減少による記憶力低下

つまり後天の精が飲食物が不足したり、脾胃の不調によって減少したり、先天の精が年齢によって減少することによって、腎精が減少することが記憶力低下の原因となります。

こうした腎精の不足により脳が満たされない状況が続くと悪化し、認知症に至ることもあります。

対処法

「私たちはただその記憶力が低下する状況を受け入れるしかないのでしょうか。」

「あるいは、この記憶力低下に対処するために私たちが今から心掛けることはあるのでしょうか。」

冒頭に合ったこの質問、答えは次の通りです。

私たちはただその記憶力が低下する状況を受け入れるしかないわけではなく、

記憶力低下に対処するために私たちが今から心掛けることはあります。

腎精の減少による記憶力低下を防ぐためには、腎を労わることが重要です。

では具体的にはどのようなことをすればいいのでしょうか。

以下で確認します。

腎の不調とは

では腎の不調とはどのような症状でしょうか。

腎の不調で出る症状として、足がむくみやすい、足腰がだるい、トイレが近い、耳のトラブル、抜け毛、白髪、精力減退・インポテンツ、不妊、骨がもろい、老化が人より早い、先天性発育不全、夜間頻尿などの症状があります。

腎精を減少させてしまう行動とは

まず確認したように、私たちはただその記憶力が低下する状況を受け入れるしかないわけではありません。

私たちは記憶力低下に対処するために、行動を改善し、努力することができます。

しかしその反対に、私たちの行動によって、記憶力低下を増長させてしまうこともあります。

それでは記憶力低下を増長させてしまう、すなわち腎精を減少させてしまう行動とはどのようなものなのでしょうか。

それは体に無理をすることです。

一見当たり前のように思えてしまうかもしれませんが、無理をすることが腎精の減少、そして記憶力低下の大きな原因となります。

たとえば、休日返上で仕事をしたり、中間管理職としてストレスを抱えていたりと心身ともに無理をしていることはありませんか?

また若い頃から夜更かしが癖になっている、夜遅くまでお酒を飲む機会が多いといった不摂生を繰り返していると腎精をすり減らして老化が進み、記憶力も低下します。

体に無理をしない。

一見当たり前のように思えることかもしれません。

しかし記憶力低下に対処するためには、生活習慣を見直し、腎を労わり、体に無理のないよう生活を整えることが大切です。

体質の転換点を自覚する

生活習慣を見直し、腎を労わり、体に無理のないよう生活を整えることが記憶力低下に対処するために重要です。

しかし体に無理をしているかどうかを客観的に振り返ることって難しいですよね。

他人と自分の無理の程度は必ずしも同じというわけではありません。

ではいったいどのようにすれば、自分の体への負担を意識し、生活を改善することができるのでしょうか。

それは「昨日と今日の自分の調子の違い」「若い頃と今の生活のパターンの違い」などといった、自分自身の違いを把握することです。
そうすることで自分の体質の転換点を自覚することができます。

すなわち年齢によって、変化していく自分の身体に合わせて、自分の生活を整えていくことが重要です。

体にいいからと言って、一気に自分の生活を変えられたらいいかもしれませんが、すぐに全てを変えていくことは難しいですよね。

結局その習慣が続かず、その反動で余計に身体に悪いことをしてしまったら、本末転倒です。

気持ちは20歳のままだとしても、体もいつまでも20歳のままというわけにはいきません。

年齢とともに変わっていく私たちの体。

自分の体と相談して、そして自分の気持ちとの妥協点と折り合いをつけながら、徐々にストレスのないよう、自分の生活を変えていくことが重要です。

体質の転換点を自覚し、腎を無駄にすり減らしている生活を見直して、老化を加速させないようにしましょう。

腎を不調にしないためのポイント

体に無理をしない。

それが腎の不調を改善させるための大前提になりますが、他にはどのようなことを心掛けることができるのでしょうか。

まず腎は冬の時期に負担がかかりやすいため、下半身を温めるようにすることが大事です。

そして腰が痛い、白髪、耳の不調といった腎の不調による症状が出たら、早めに腎にいい食材を積極的に取り入れましょう。

それでも症状が改善しない場合は、脾の改善も視野に入れて、体を整えていきましょう。

後天の精を補う

後天の精を補うことで減少した腎精を補填することができます。

そのためには腎の働きを助ける食養生を心掛けましょう。

例えば腰痛、足腰がだるい、耳の症状、老化が早い、むくみといった症状の改善にも効果が期待できます。

食養生

腎の働きを助ける食材

黒米、小麦、山芋、カシューナッツ、黒ゴマ、くるみ、粟、黒豆、枝豆、カリフラワー、キャベツ、ごぼう、桑の実、プルーン、ぶどう、ブルーベリー、枸杞子(クコシ)、うなぎ、えび、貝柱、ししゃも、すずき、スッポン、鯛、豚肉

鹹味(しょっぱい)のある食材

昆布、かに、わかめ、えび、いか

まとめ

記憶力の低下、今回は私たちがいずれは経験する老化と深く関わりのある腎の働きによる観点からご紹介いたしました。

私たちはただその記憶力が低下する状況を受け入れるしかないわけではなく、

記憶力低下に対処するために私たちが今から心掛けることはあります。

そのためには体に無理をしないこと、そのために自分の体質の転換点を自覚し、年齢によって、変化していく自分の身体に合わせて、自分の生活を整えていくことが重要です。

私たちの気持ちとは関係なく体は年を重ねます。

そんな私たちの体と向き合い、自分の気持ちとの妥協点と折り合いをつけながら、徐々にストレスのないよう、自分の生活を変えていくことが重要です。