自宅でできる薬膳
目の疲れ、気になりませんか?
ただの目の疲れだと思って、そのままにしておいたら、あとで後悔することもあるかもしれません。
目の疲れは肝や腎と深い関係があります。
今回は、そんな身近な目の疲れについてご紹介いたします。
目の疲れとは
症状
目の疲れは、かすみ、痛み、ドライアイ、充血、物がぼやける、二重に見えるといったような直接目に現れる症状のほか、頭痛や肩こり、吐き気等、体に表れる症状もあります。
とくに長時間パソコンやテレビの画面を見続ける等、目を酷使している人に多く見られます。
原因
目の疲れは血と陰液の不足、もしくは気、血の巡りが悪い気滞、血瘀から起こります。
血と陰液が不足すると目に栄養が不足するため、目に疲れが出ます。
気と血の巡りが悪い場合は、目に栄養が行き渡らずに疲れとなります。
肝の不調
とくに目の疲れの原因を考える時に、肝は密接に関わっています。
肝は目の栄養となる血を貯蔵しているからです。
目は肝と最も関係が深く、目を酷使すると目の栄養源となる血を消耗し、肝の働きも低下させます。
ストレスが多くなると、それを処理する肝が過剰に働き、熱がこもります。
こもった熱が頭部に上がり、充血やかすみ目等を引き起こします。
腎の不調
肝と腎はお互い助け合っているため、肝腎両方、対処することが大切です。
もし中高年で老眼などの症状がみられる人は、加齢により、腎の働きが低下しているからかもしれません。
目の疲れの代表的なタイプ
①肝の不調タイプ
目を長時間使い続けて、物が見えにくくなったり、目がかすんだりする場合は、肝の働きが低下している状態です。
眼精疲労に伴い、イライラや抑鬱、神経過敏、不眠などの精神的な症状も見られます。
②腎虚タイプ
目の疲労やかすみ目とともに、足腰の疲れやしびれがある場合は、腎の働きが低下した「腎虚」の状態です。
中高年や、体力が比較的低下している人に多いです。
③水毒タイプ
動悸やめまい、立ち眩み、胃に水が溜まったようなポチャポチャ音がする場合は、水が停滞した状態「水毒」と考えられます。
人によっては、仮性近視、あるいは壁の模様をじっと見つめていくとふわふわ揺れて見えることもあります。
④血虚タイプ
血虚とは、体内の血が不足した状態です。
目に栄養を与える血の不足により、目が疲れやすくなっています。
顔色が白っぽい、土気色っぽい、めまい、肌の乾燥、不眠、生理不順等の症状が見られます。
⑤気滞タイプ
気の流れが滞り、気が鬱積したりしている状態です。
気の巡りが悪いために血の巡りも悪くなり、目に栄養が行き渡らなくなります。
イライラしたり怒りっぽい、ストレスを感じる、頭痛・肩こり、ゲップ・ガス、しゃっくりが多い、喉につかえた感じ等の症状が見られます。
⑥血瘀タイプ
血行不良の状態です。
「血」の巡りが悪いことで、目に栄養が行き渡らなくなります。
顔色が暗い・くすみ、しみ・そばかす、足の血管が浮き出る、生理不順、頭痛、肩こり等の症状が見られます。
まぶたの痙攣
まぶたがピクピクと痙攣することはありませんか?
まぶたの痙攣も目の疲れだと一括りにしてしまってはいけません。
瞼の痙攣は、ストレス過多や目の酷使、睡眠不足による血液不足等が主な原因です。
それらによって、肝の働きが鈍ると、筋肉や組織に栄養が届かなくなり、まぶたの痙攣が引き起こされます。
対処法
目の疲れには
目の疲れには、温めて血流を良くして、老廃物を排出することが大切です。
目を冷やすと血流の悪化で老廃物が溜まってしまいます。
目が疲れたと感じた時は、温タオル等で目を温め、血流を良くして、筋肉を和らげるのがいいです。
ただし目が充血している時は、冷やしたタオルで炎症を抑えてください。
他にも、しっかり睡眠を取ること、定期的に目を閉じて休めること、目の周り・首・肩のマッサージをするのもおすすめです。
パソコン、スマホ、テレビは見疲れする前に、窓から遠くを見る等して、定期的に休めましょう。
食養生
疲れ目や充血など、目の症状全般にいい食材
菊花、ゴーヤ、ブルーベリー、干しブドウ、鰻、枸杞子(クコの実)等
①肝の不調タイプ
→肝の働きを助ける食材
アサリ、蜆、人参、牡蠣、レバー、イカ、梅干し等
②腎虚タイプ
→腎の不調を改善する食材
枸杞子、ハト麦、山芋、アサリ、黒豆等
③水毒タイプ
→体の余分な水分を取り除く食材
とうもろこし、冬瓜、なす、もやし等
④血虚タイプ
→血を補う食材
黒豆、黒ゴマ、黒きくらげ、ほうれん草、人参等
⑤気滞タイプ
→気の巡りをよくする食材
玉ねぎ、ピーマン、みつば、グレープフルーツ、鮭等
⑥血瘀タイプ
→血の巡りを良くする食材
黒豆、納豆、玉ねぎ、チンゲン菜、ニラ、菜の花等
ツボ
目のツボ押しは血流を改善して目の筋肉をゆるめ、眼精疲労や目からくる頭痛を軽減してくれます。
とくに「太陽」のツボは、目疲れ、ドライアイにはおすすめです。
太陽
眉毛と目の端の中間から指1本分後ろのややくぼんだところ
印堂
陥没している眉間の中央
攅竹
左右の眉頭の内側のくぼみ
四白
左右の目の真下
睛明
左右の目頭の上のくぼみ
まぶたの痙攣には
ストレスが原因の場合
柑橘類、紫蘇、木の芽、ミント等、心を安定させてくれる香りのいいものがおすすめです。
運動をして汗をかくのもいいです。
血液不足の場合
トマト、苺、プルーン、棗、枸杞子、レバー等、補血作用のある「赤い食材」がおすすめです。
体の栄養である血は、寝ている間に補充されるものなので、早く眠るのもいいです。
自宅でできる薬膳
お義母さんに教えていただいた薬膳をご紹介致します。
私のお義母さんは中国出身で、薬膳の知識を生かした中国料理店も営んでいます。
そんなお義母さんが作ってくれる料理は、温かい家庭の味と、先祖代々受け継いだ知識が詰まっています。
今日はそんなここならではの秘伝のレシピについて、ご紹介いたします。
枸杞子(クコシ)入り 肉団子のスープ
ご自宅で作るスープに、枸杞子を一緒に入れるだけで、簡単に作ることができます。
作り方
①出汁をとった沸騰した湯に、野菜、肉団子、枸杞子を入れる
②醤油や塩等で、味を調整する。
食材
枸杞子(クコシ、クコの実)
不足した津液を補い、肝と腎の機能を高める作用があります。
潤い不足、ふらつき、めまい、老化の予防にいいです。
また目の疲れを癒して視力を回復する作用があります。
菊花茶
作り方
菊花を洗い、沸騰したお湯に入れる
食材
菊花
熱を鎮めて炎症を抑える作用をもつ菊花は、喉の痛みを伴う風邪、、頭痛、腫物の症状を和らげます。
目の働きを改善する作用もあるので、疲れ目、目のかすみ、充血にもいいです。
中国では昔から延寿客と呼ばれ、命を伸ばす効果があると言われています。
お茶以外にも菊花を煮出してエキスを作り、お粥など料理のベースに使うこともできます。
まとめ
目の疲れは血と陰液の不足、もしくは気、血の巡りが悪い気滞、血瘀から起こります。
とくに目の栄養となる血を貯蔵している肝は、目の疲れと密接に関わっています。
また肝と腎はお互い助け合っているため、肝腎両方、対処することも大切です。
そんな目の疲れに良い食材は、菊花や枸杞子です。
とくに枸杞子は血液を補い、血行を良くして肝と腎の機能を高めてくれます。
手軽に食事に加えることができるので、積極的に取り入れましょう。