
イライラや鬱のような症状改善・自宅でできる薬膳茶
秋に気分が落ち込みやすい事はご存知ですか?
今回は、秋特有の症状だけではなく、イライラや鬱のような症状改善に役立つ東洋医学の知識をご紹介いたします。
自宅でできる薬膳茶は、「凛林」さんのレシピと中国の家庭料理を参考に致しました。
心と体について東洋医学の知恵を活用し、より元気に、より健康になりましょう。
秋にどうして気分が落ち込むの?
過度な感情は臓腑を痛める
人間には、喜・怒・思・悲・憂・恐・驚という7つの感情や情志(情緒)があるとされ、これらを七情といいます。
それぞれの感情は、特定の臓腑に関与しており、喜は心、怒は肝、思は脾、悲・憂は肺、恐・驚は腎に属しています。
過度な感情は、それぞれ関連した臓腑を痛めます。
たとえば、考えすぎて胃が痛い等、行き過ぎた感情は臓腑へ真っ先に影響を与えます。
臓腑の不調が感情に影響する
以上のように、過度な感情は臓腑を痛め、それぞれ感情に関連した臓腑や気の機能に不調を来します。
また臓腑や気の不調も感情や情志に影響します。
そしてその感情がさらに臓腑に悪影響を与え、病状を悪化させるという悪循環になるのです。
こうした悪循環を断つには、感情や情志の障害を取り除き、精神的障害を除去することが必要です。
秋にどうして気分が落ち込むの?
秋に最も影響を受けやすい「肺」は七情の中の、悲・憂と連動しています。
悲しみ、憂いが過ぎると気は消え、「肺」を傷つけます。
そうして弱った「肺」は、秋の外邪である燥邪の影響を受け、呼吸器の機能が低下する肺気虚、肺熱により肺の潤いが欠損する肺陰虚、外邪侵襲による風寒束肺と痰湿阻肺といった肺の機能の失調になりやすいです。
そして傷ついた「肺」がさらに感情に影響し、意気消沈させたり、涙が出やすくなったりします。
気分の落ち込みとは
気分の落ち込みは、秋特有の「肺」の機能低下だけではありません。
イライラや鬱のような症状は、「肝」の不調、さらに「心」と「肺」が「肝」から影響を受け不調を来すこともあります。
このように不調の連鎖が起こってしまうのです。
肝の不調
「肝」は自律神経をコントロールしており、情緒の安定を助ける働きがあります。
自律神経は、日常生活において副交感神経と交感神経をうまく切り替えながら、自動的に恒常性を保っており、このバランスによって、心身は常に安定しています。
ストレスによって、「肝」の異常が生じると、この自律神経の働きが乱れ、「イライラする」といった心の問題が現れます。
イライラは、気が逆上した「気逆」の状態です。
また、気が体内をうまく流れず欝々とした気分になる「気滞」にもなります。
気逆や気滞の状態が持続すると、気が枯渇し、まったくやる気が起きない気虚状態に進行します。
心と肺の不調
ストレスによって肝が不調になると、心と肺の働きが低下します。
このように不調の連鎖が起きるのです。
これは東洋医学で言う「相生と相剋」の関係で、心と肺は、肝の不調を受けやすいです。
「心」の不調は、動悸など血液循環の不調による症状のほかに、精神面や感情面の異常をもたらします。
また心そのものがストレスの影響を直接受けることもあります。
「肺」の不調は咳やくしゃみ、鼻詰まりなどの症状を引き起こすことがあります。
予防策
肝の養生
「肝」の養生は、まず運動や入浴等で体内の悪いものを、余分なものを取り除いてから、食事や休養等、体に良いものを取り入れることが重要です。
体内の悪いものを出すのは、入浴がおすすめです。
37度から40度のぬるめのお風呂に20分から30分入ると、副交感神経が働いて、筋肉が和らぎ、リラックスできます。
体内の悪いものを発散させた後は、「肝」にいい食材を身体に取り入れましょう。
「肝」を補う働きをもつ、酸味の食材がおすすめです。
酢の物のほか、スモモやキウイなど、酸味の強いフルーツを積極的に食べるのがいいです。フルーツビネガーを水で割って飲むのも効果的です。
また気の高ぶりを抑える食材、香りの野菜や柑橘類を摂るのもいいです。
三つ葉、春菊などの香味野菜や柚子、カボスといった柑橘類が気の巡りを整えます。
心と肺の養生
「心」の不調にいいのは、気逆を改善する食材です。
心がストレスによってダメージを受けると、物事に驚きやすい、動悸がする、手汗をかきやすいといった「神経過敏」な症状がみられます。
これは気が下から上へ逆流した状態によるものです。
神経過敏な状態には、カルシウムを多く含む小魚、気逆の症状にはシナモンがおすすめです。
風邪をひいているわけでもないのに、のどがイガイガする、咳が止まらない等の症状は、「肺」の不調が原因です。
蜂蜜は「肺」を潤し、不調を改善します。
梨やカリン、銀杏等も肺にいいです。
自宅でできる薬膳茶
「凛林」さんおすすめのお茶と、私がお義母さんによく作っていただくお茶をご紹介致します。
「凛林」さんは、知る人ぞ知る鎌倉市二階堂にある名店、中国料理、薬膳料理、精進料理のお店です。
私のお義母さんは中国出身で、薬膳の知識を生かした中国料理店も営んでいます。
そんなお義母さんが作ってくれる料理は、温かい家庭の味と、先祖代々受け継いだ知識が詰まっています。
今日はそんなここならではの秘伝のレシピについて、ご紹介いたします。
「白キクラゲ入りジャスミン茶」
※「白キクラゲ入りジャスミン茶」画像

白キクラゲは喉を潤し咳を抑え肺に良いとされてるそうです。
肌のハリや潤いも期待できます。
また腸のはたらきも良くしてくれる食物繊維も含んでます。
骨粗しょう症の予防効果が見込めるビタミンD、カルシウム・マグネシウム・鉄などのミネラルも含んでいます。
100gで14kcalと低カロリー、またジャスミンが脂肪を燃焼する効果が期待できるので食事しながら飲むのも効果的です。
ジャスミンの香りが身体を落ち着かせリラックスできます。
もし白きくらげがなかったら、ジャスミン茶だけでも、イライラや情緒不安といった症状におすすめです。
「凛林」さんではお水の代わりにジャスミン茶をお客さんに出しているようです。
作り方
①白きくらげを、水で10分戻し、不純物があったら取り除きます。
②砂糖少々と、お湯で5分煎じ、白きくらげを取り出し、ジャスミン茶に加えます。
お水で戻す時間を短くすることで、完全に白キクラゲを戻させず、白キクラゲに程よく甘味が残ります。
煎じた汁を多少ジャスミン茶に加えてもいいでしょう。
食材
「ジャスミン茶」
ジャスミン茶には気の巡りを活発にする作用があります。
またイライラ、情緒不安、食欲不振、ゲップといった症状改善に適しています。
体を温めて血の滞りを解消する作用があり、肩こり、肌のくすみ、生理痛等血行不良が原因となる症状の改善に有効です。
「白きくらげ」
白きくらげは「銀耳」とも呼ばれています。
世界三大美人の楊貴妃も愛用していたとも言われています。
中国からの輸入品が中心で、乾物として販売されています。
津液を補って、弱った臓器を回復させる働きがあります。
とくに肺を潤す作用が強いため、から咳、口の渇き、のどの痛み、粘つく痰の改善に役立ちます。
また肺の潤いを調節する機能があるため、乾燥やたるみを防ぐ美容効果も期待できます。
とくに空気が乾燥しやすい秋には積極的に取り入れたい食材です。
中国では、白きくらげを果物と氷砂糖で似たデザートがよく食べられています。
「棗とクコの実のお茶」

私がよくお義母さんに作ってもらったお茶を紹介します。
心が疲れている時に飲むと、ほっと優しい気持ちになれます。
不安感があり、眠れない夜にも、おすすめです。
作り方
①白きくらげを、水で10分戻し、不純物があったら取り除きます。
②砂糖少々と、お湯で5分煎じ、白きくらげを取り出し、お湯に加えます。
③クコの実、ナツメ(大棗)を加え、黒砂糖で甘みを調節します。
食材
「クコの実」
潤い、ふらつき、めまい、老化や目の疲れ等の予防にも効果的です。
「ナツメ」
体力不足、疲れ、食欲不振の改善、血を補い、精神状態を安定させる働きもあります。
お店の紹介
「白キクラゲ入りジャスミン茶」は「凛林」さんがご紹介してくださいました。
「凛林」
鎌倉市二階堂725-4(瑞泉寺山門上ル)地図はこちら
TEL:0467-23-8535
FAX: 0467-23-8534
不定休(お電話にてお問合せください)
【営業時間】予約制(ご来店前にお電話にてご確認ください)
ランチタイム:午前11時~午後3時
ディナータイム:午後5時~午後9時(ラストオーダー午後7時30分)
まとめ
悲しみ、憂いが過ぎると「肺」を傷つけ、秋の外邪である燥邪の影響も受け、さらに「肺」が傷つくと、感情に影響し、意気消沈させたり、涙が出やすくなったりします。
また気分の落ち込みは、秋特有の「肺」の機能低下だけではなく、「肝」の不調であります。
さらに「心」と「肺」が「肝」から影響を受け不調を来す前に、肝の養生が肝心です。
生活の中でできる東洋医学の知識を取り入れ、未病を正しく防ぎましょう。