□■冬の食養生についてPart3 「脾」を補う■□

onions and garlic heads in wooden box on table 普段使いの薬膳レシピ
Photo by Karolina Grabowska on Pexels.com
fresh organic onions and garlic in square pot
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<まだまだあります!冬におすすめの食材>

皆さんいかがお過ごしでしょうか。気温がぐっと下がってきて冬らしい季節になってきましたね。

前回は冬に食べて頂きたい食材として、腎を補う役割のあるニラと海老を紹介させて頂きました。今回は、「脾」を補う役割のある食材を紹介致します。

その前に少しだけ前回のおさらいをさせて頂きます。

<前回のおさらい>

前回は「腎」についてお話しました。腎は、中医学において両親から受け継いだ先天の気が蓄えられているとされており、先天の腎精とも言われます。

成長や生殖にかかわる根源的な基礎となり、老化とも深く関係しているとされているため、

腎を補うことでアンチエイジングにもつながります。

そんな腎を補う食材は、黒ゴマ・クコの実・長芋・すっぽん・なまこ・羊肉・うなぎ・胡桃・ニラ・海老・栗・ぶどうなどがあります。

<脾について>

中医学において「脾」は運化を主り、消化・吸収・代謝の働きがあるとされています。脾の機能が弱まると、食欲不振や、胃の消化機能が弱まることから胃もたれや下痢が起こりやすくなります。また、気を体内に巡らせることができないので疲れやすくなるとされています。

脾に帰経する食材は、玄米・サツマイモ・カボチャ・とうもろこし・大葉・ニンニク・唐辛子・八角・高麗人参・鶏肉などがあります。一般的に薬膳では黄色の食材が脾を補うとされています。

今回はこの中から、大葉とニンニクについてお話させて頂きます。

<大葉(紫蘇)について>

薬味として登場することが多く、どちらかと言えば脇役のイメージがあるかもしれません。大葉は辛味、温性を持つ食材なので寒邪を取り除くことが期待され、寒邪による病が発生しやすい冬に是非食べて頂きたいのです。

・産地:中国各地が原産と言われています。日本では主に愛知県で生産されています。

・性味帰経:温・辛・肺・脾・胃

・薬効成分:βカロテン、ビタミンK、ルテオリン、ペリルアルデヒド

・効能:散寒解表、行気化痰※、解毒

・健康効果:抗酸化作用(認知症の予防が期待されます。)

      防腐、殺菌作用(海産物が腐るのを防ぎ、食中毒を防ぎます。)

      抗アレルギー作用(アトピーや花粉症を防ぐ効果が期待されます。)

・旬:6月~9月と言われています。梅干しの色付け用に使われる赤じそは6月~7月です。

・レシピ:やみつき大葉のごま醤油づけ、チーズと大葉の豚ロース巻き

 ◎やみつき大葉のごま醤油づけ

 ☆材料(大葉20枚分)

  大葉         20枚

  ごま油        大さじ2(=24g)

  醤油         大さじ1(=18g)

  白いりごま      小さじ2(=6g)

  すりおろしにんにく  小さじ1(=5g)

 ☆作り方

 ①大葉は軸を切り落とします。

 ②ボウルにごま油、醤油、白いりごま、すりおろしにんにくを入れ、よく混ぜ合わせます。

 ③別のボウル、またはタッパーなどの保存容器に大葉と②を交互に重ね、上から落としラップをして冷蔵庫で1時間程度寝かせます。

④器に盛りつけて出来上がりです。

◇ポイント⇒ごま油は半量(大さじ1)でも美味しく頂けます。油が気になる方は量を減らしてください。

しっかり味がついているのでご飯のお供にベストマッチしますが、焼いたお肉に巻いて食べるのもおすすめですよ。

 次に定番のおかずレシピを紹介させて頂きます。

◎チーズと大葉の豚ロース巻き

☆材料(2人分)

  豚ロース肉(薄切り)    150g

 大葉           6枚

  プロセスチーズ      4個

  塩・こしょう       少々

  薄力粉          大さじ2(=18g)

  サラダ油         大さじ1(=12g)

  酒            大さじ1(=15g)

  醤油           大さじ1(=18g)

  砂糖           小さじ2(=6g)

  みりん          小さじ2(=12g)

☆作り方

①酒、醤油、砂糖、みりんを器に合わせておきます。

②プロセスチーズを1㎝幅に切り、大葉は軸を切り落とし半分に切ります。

③豚ロース肉を広げてその上に大葉とプロセスチーズをのせて巻いていきます。

④③の両面に塩・こしょうを振り、薄力粉をまぶします。

⑤フライパンにサラダ油を入れ中火で熱します。

そこへ④の巻き終わりを下にして焼きます。

⑥①を加え全体になじんだらお皿に盛りつけて完成です。

<ニンニクについて>

スタミナがある食材と言えば、ニンニクですよね。ニンニクは、前回紹介したニラと同じアリシンという成分が含まれています。アリシンはビタミンB1の吸収率を向上させると言われており、ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える働きがあります。そのため、疲労回復や食欲増進効果が期待されます。

・産地:原産地はタジベキスタンやウズベキスタンなどの中央アジアです。

生産量は中国が世界の8割を占めています。

日本では、北海道、青森県、香川県が産地として有名です。

・性味帰経:温・辛・脾・胃・肺

・薬効成分:カリウム、アリシン、アリチアミン、アホエン、ビタミンB6、葉酸

・効能:消腫、解毒、殺虫

・健康効果:殺菌作用(風邪やインフルエンザ、腸炎を予防します。)

疲労回復作用(アリシンがビタミンB1の吸収を高める作用があるためです。)

血行改善作用(血液をさらさらにして血栓を予防します。)

・旬:6月~9月頃とされています。

・レシピ:きのことソーセージのニンニク炒め、丸ごとニンニクホイル焼き

 ◎キノコとソーセージのニンニク炒め

 ☆材料(2人分)

  エリンギ          1パック(約100g)

  マッシュルーム       1/2パック(約50g)

  ソーセージ         5本

  じゃがいも         2個

  にんにくすりおろし     1片分(皮をむいて約6g、チューブだと小さじ1程度)

  玉ねぎ           1/2個(約100g)

  オリーブ油         大さじ2(=24g)

  酒             大さじ1(=15g)

  塩・こしょう        少々

☆作り方

 ①エリンギは長さを半分に切り、手で縦四等分に裂きます。

マッシュルームは薄切りにします。

 ②じゃがいもは5㎜角の棒状に切り、ウインナーは斜め半分に切ります。

 ③たまねぎは皮をむき縦に薄切りにしておきます。

④フライパンにオリーブ油、にんにくを熱し香りが立ったら③を入れて炒めます。

 たまねぎが透明になったらじゃがいもを加えて混ぜ、酒を入れてふたをし、

弱火で3分程蒸し焼きにします。

⑤じゃがいもに火が通ったら、ウインナーと①をくわえて混ぜ、塩・こしょうで

味を調えます。お皿に盛り付けて完成です。

 ◇ポイント⇒お皿に盛るときにみじん切りにしたパセリ(または乾燥パセリ)を

散らすと彩りが良くなります。

◎丸ごとニンニクホイル焼き

 ☆材料(2人分)

 ニンニク       1房

 オリーブ油      大さじ1(=12g)  

 塩          ふたつまみ

 ☆作り方

 ①ニンニクの皮をむきます。底のかたい部分も切り落としておきましょう。

 ②アルミホイルを二重にしニンニクを入れる容器を作ります。

 ③②にニンニク、オリーブオイル、塩を入れ、上から別のアルミホイルで蓋をします。

 ④ホットプレートや魚焼きグリル、トースターなどで10分ほど加熱します。

火が通ったら完成です。

<終わりに>

いかがでしたか?ニンニクは食べ過ぎると胃痛を引き起こすこともありますので、1日にたくさんの量を食べるのではなく、少量ずつ食べることをおすすめ致します。

ちなみに1日の目安量は20g(4片)程度とされていますので、参考にしてくださいね。

また、効果の強い温性(熱性含む)の食材は生で摂りすぎると身体を温めすぎてしまうため気を付けましょう。

ますます寒くなってきましたね。腎と同様に脾も補い身体を温めながら、冬を乗り越えていきましょう。

※行気とは胃腸の気を高め気の流れを改善するという意味です。

化痰とは、痰を除くという意味ですそのため、咳や胸悶、悪心、嘔吐に良いとされています。

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