「健康的に、きれいになりたい」…。女性の永遠のテーマですね。
この悩みに対して、自宅で過ごす時間が増えた今こそ「薬膳料理を自宅で作ろう」と一念発起する方が増えているようです。

「薬膳」とは、文字通り「お薬になるごはん」です。食べる人の体調やタイプに合わせて、季節と旬の食材を組み合わせて作る料理で、体と心の悩みに内側からじんわりと働きかけていきます。
薬膳料理を作れるようになると、体の調子がだんだん良くなってきて、自然な健康美に近づくことができます。ダイエットのためにつらい食事制限をガマンしても、やせ細って肌がしぼんだり髪や爪がボロボロになってしまったら、きれいじゃなくなってしまいますよね。それより、毎日の食事できれいになるほうが、気持ちも表情もずっと明るくなれるはず!
今回は、「薬膳とは何か?」というお話から、薬膳料理を作るプロとしての「薬膳インストラクター資格」についてもご説明していきます。
毎日を楽しく、健康的に、美しく過ごすためのヒント、「薬膳」の魅力についてご紹介します。
薬膳とは?
薬膳は、病気になる前の不調(未病)を根元から改善し、自己治癒力を高めていく「お薬」のような効果を持った料理です。
古代中国から、「中医学」という伝統医学のひとつとして受け継がれてきました。
「医食同源」という言葉を聞いたことはありますか?これは、「医療と普段の食事は同様のもの。健康を作るのは食事である」という意味です。
体に良いものをしっかり食べて、内側からバランスよくきれいになっていきたいですね。
未病とは?
「未病」とは、「まだ病気にはなっていないのだけど、なんだか体の調子が悪い」「何となく具合が悪いけど、わざわざ病院に行くほどじゃない……」というモヤモヤした状態のことです。
・ひどい冷え性で、夏でも手足の先が冷たい
・生理痛がひどくて、痛み止めを飲んでいる
・疲れているのに寝つきが悪い、眠りが浅い
・目が疲れやすい、目がかすむ
こうした悩みを抱えながらも、何となくそのまま過ごしてしまっていませんか?今は小さな悩みでも、だんだん不調が積もって、本当の病気になってしまうかもしれません。
未病のときから改善していくことが肝心です。
ポイントは体質診断・改善
薬膳のポイントは、まず自分の体調・体質を知ることです。
もっとも基本的な考えは「気・血・水」というキーワード。
「気が不足する体質」、「血の流れが滞ってしまう体質」、「余分な体液が体にたまりやすい体質」など、この気・血・水の考え方をもとに、自分の体の中を診断していきます。
体調・体質がわかったら、それに適した食材と調理法を組み合わせていくことができます。
体のバランスを全体的に整えていくのが、薬膳の考え方です。
季節や旬の味わいを大事に
薬膳は「陰陽」や「五行」といった考え方に基づいています。
中でも、食材に対しては「食性」「食味」といった効能の分類があります。体を潤す食材なのか、温める食材なのか、熱を冷ます食材なのか……といった効能を見極めていくことです。
そこでポイントになるのが、食材の季節と旬です。
夏にとれるスイカは「寒性」といい、熱と暑さを取り除きます。のどの渇きを抑えて水分補給するとともに、余分な水分は利尿作用として体から出してくれます。
秋に出回り始める梨は、「燥邪」という乾燥による不調に働きかけます。体の渇きと熱を「涼性」で癒し、咳や痰を水分によってしずめてくれます。大腸も潤すので、お通じの悩みにも。
このように、季節と旬の食材は、その時期ならではの悩みに応えてくれるのです。
薬膳には「身土不二」という言葉があります。「その土地で育った食べ物と、人の体はつながっている」という考え方です。
その土地でとれた食材、旬の食材をとりいれることが、体にとって良いということですね。
薬膳インストラクターってどんな資格?
こうした薬膳の知識を専門的に生かすことができる「薬膳インストラクター」という資格があります。
薬膳インストラクターは、中医学(中国の伝統医学)の基本を理解して、薬膳を使ったレシピ・調理法などの知識・技術を持っていることを証明する資格です。
中医学と薬膳の基礎知識のほか、体質を改善する食材の組み合わせ、症状別の薬膳レシピなどを考えることができます。
履歴書や名刺にも載せることができる資格です。
何に生かせる資格?仕事でも、家庭でも
食事療法・予防医学などに関する能力を持っていることを示す資格なので、飲食業界の方や医療・福祉関係で働いている方から人気です。
また、薬膳インストラクターの資格を取得したら、自分で薬膳教室を開くこともできますよ。
自分や家族の健康と美容にも良い食事を作れるので、毎日かならず役に立つスキルです。
薬膳インストラクターに向いている人は?
薬膳インストラクターに向いている、または、薬膳インストラクターの資格がすぐに役に立つのは次のような人です。
きれいになりたい人
人間の体は食べているものから作られています。肌のハリや潤い、髪のツヤや、メリハリのあるボディなど、きれいのもとになる土台を食事で作ることができます。
自分でごはんを作ることで、どんどんきれいになれるというのは素敵ですよね。
健康になりたい人
体質を改善し、免疫力をアップさせて、季節の風邪にも強い体を作ることができます。
薬膳料理を始めてから、生活習慣病や花粉症が改善したという声も。
病院に通う回数も少なくできるかもしれません。
季節のおいしいものを楽しみたい人
薬膳では季節と旬の食材をふんだんに使います。旬の食材は、ほかの季節と比べて味や色、香りも濃いですよね。栄養たっぷりで、食材の持つパワーが強くなっています。
その食材にあった調理法をすることで、さらにおいしい一皿を作ることができるでしょう。
料理が好きな人
料理が好きな人は、ぜひ薬膳インストラクターの勉強をしてみてはいかがでしょうか。
薬膳では、蒸す・焼く・茹でる・煮出す・煎じる・漬け込む、など、さまざまな調理法を学ぶことができます。体質と食材にぴったり合う調理と味付けができるようになったら、料理がますます楽しくなるはず。
さらに、健康ときれいにもなれるわけですから、一石三鳥ですよね。
家族みんなの健康を守りたい人
料理で、家族みんなの健康を守ることができます。
たとえば、育ち盛りでエネルギーがたくさん必要な子どもたち、健康診断の結果が気になる旦那さん、いくつになっても若々しくきれいでいたい奥さん、心身を強くして毎日笑顔で過ごしたい両親……家族一人ひとり、理想の自分のイメージがあるかもしれません。
簡単なものでも、毎日少しずつ薬膳を取り入れれば、体の変化を実感していけるはず。
おいしくて健康的なレシピが、家族団らんのきっかけにもなるかもしれませんね。
一生もののスキルを身につけたい人
薬膳は、数千年もの歴史がある中国医学にもとづいた料理です。
その知識と技術は一過性のものではなく、それこそ一生役に立つスキルになります。
身につけていけばいくほど、料理のレパートリーが広がっていくのも魅力。食事は人間の体に欠かせないものなので、どこへ行っても薬膳の知識を生かすことができます。
薬膳インストラクターの資格取得の勉強法、難易度
それでは、薬膳インストラクターの資格はどのように取得することができるのでしょうか?
通信教育講座
最近、通信教育では、薬膳インストラクターの資格を取得できるコースが人気です。
国際中医薬膳師の資格を持つプロが監修し、専門的な理論も読んですぐわかるように書かれています。
また、映像講義が付いていることもあり、薬膳レシピの実際の調理法を動画で見て学べます。
例えば、コンロの火の大きさはどのくらいが良いでしょうか?「とろ火」「強火」が実際どのくらいの火力なのか、本だけでは分からないこともありますよね。
薬膳教室に通うのと同じ学習を、自宅でおトクにできます。
通学
薬膳料理を専門に学ぶことができる教室・スクールに通学する方法です。
全日本薬膳食医情報協会の認可施設など、しっかりした教室を選ぶと良いでしょう。
通学タイプの最も良い点は、プロの先生に教えてもらいながら薬膳料理を作れるライブ感や、分からないことをその場で質問できるといった双方向性の学習機会があることです。
正しい調理法のほか、美しい盛り付けや食器の選び方も自然と身につきます。
最近は通学タイプでもオンライン講座を採用するところが増えています。
ZOOMなどで繋ぎながらリアルタイムで講義を受けるので、積極的に質問などをしていくことで、スピーディーに理解を深めていくことができるでしょう。
独学
最後に、独学で薬膳インストラクター資格を取得する方法もご紹介します。
これは、薬膳インストラクター育成のための本を使うのが一般的です。
東洋美食薬膳協会や日本国際薬膳師会などの機関が出版していたり、オススメしていたりする本も多数あるので、自分の好みや勉強しやすさで選んでOKです。
中医学と薬膳の理論と、実践できるレシピ、それぞれ学べるようにしておくと良いですよ。
まとめ
「薬膳が気になっているけど、なんだか難しそう」と感じる方もいるのではないでしょうか。
薬膳の基本は、自分の体と心の声をよく聞くことです。
その上で、人間も自然の一部として考え、四季折々と旬の食材を選び、体調や体質に合ったかたちで組み合わせたり調理したりする。
中医学の理論なども学ぶことで、さらに深い理解とあたらしい発見とに出会えるのです。そうすれば、毎日の料理がもっと楽しくなるはず。
また、忙しい日にも、買ってきたお惣菜に薬膳パワーを「ちょい足し」するだけでも効果がありますよ!
一生もののスキルになる、薬膳の知識を身につけてみてはいかがでしょうか。