【薬膳】胃もたれとは。食べ過ぎてしまった時の食養生、対処法

年末年始、食べ過ぎて胃もたれを起こし、後悔したことはないでしょうか?

こうした胃もたれはどうして起こるのでしょうか。

食べ過ぎ・飲み過ぎ・加齢・ストレス・妊娠等、原因はさまざまです。

今回はそんな「胃もたれ」についてご紹介します。

ethnic woman in agony at home
Photo by Sora Shimazaki on Pexels.com

西洋医学での「胃もたれ」とは

「胃もたれ」の症状

「胃もたれ」とは、どのような症状でしょうか。

「胃もたれ」とは、食事の後や食間に胃が重く感じる症状のことです。

胃での消化が遅くなって、飲食したものが胃の中にいつまでもとどまっているために起こります。

「胃もたれ」の原因

ではどんな時にそのような症状が起こりやすいのでしょうか。

「胃もたれ」は、胃の運動や消化機能が低下することにより起こりやすくなります。

例えば、暴飲暴食、加齢やストレス、妊娠中には、「胃もたれ」が起こりやすいです。

注意しなければならない「胃もたれ」

お腹が張る(腹部膨満感)、食欲不振、むかつき、胃の痛み、胸やけなどがある場合、または胃もたれが長引くような場合は、何らかの病気によって「胃もたれ」の症状が引き起こされている場合があります。その場合は医師に相談しましょう。

東洋医学での「胃もたれ」とは

東洋医学では、西洋医学で言う「胃」の働きは、「脾」の働きを指します。

脾は、胃腸機能の他、消化吸収の働き全体を担っています。

では東洋医学では「胃もたれ」について、どのように考えられているのでしょうか。

「胃もたれ」は、主に「気・血・水(き・けつ・すい)」の「気」が不足している「気虚」の状態、あるいは「水」のバランスが悪くなっている「水毒」の状態と考えられています。

詳しく見ていきましょう。

「胃もたれ」の原因と症状

気虚タイプ

気の量が不足して、新陳代謝が悪く、機能が低下している状態です。

疲れやすく、やる気が出ず、免疫力も低下しています。

気が不足していることで少し食べただけでも消化する能力が足りなくなります。

症状

やる気が出ない、風邪を引きやすい、手足の冷え、食後すぐに眠くなる、胃下垂等

気滞タイプ

気の巡りが滞り、気が鬱積したりしている状態です。

イライラしたり、憂鬱、不安といった精神的に不安定な状態になりやすいです。

ゲップや不眠症などを起こしやすくなります。

また気の巡りが悪くなると、「胃」の消化機能が弱くなります。

症状

イライラしたり怒りっぽい、ストレスを感じる、頭痛、ゲップ、ガス、しゃっくりが多い、喉につかえた感じ

水帯タイプ

水帯タイプとは、体に余分な水分「湿」が溜まった状態です。

水分代謝が悪く、「脾」に負担がかかっていることで、消化機能が低下してしまいます。

またむくみやすく、吹き出物ができたり、軟便、下痢になりやすいです。

症状

むくみ、体が重だるい、倦怠感、軟便、下痢しやすい、めまい、吐き気、アレルギー等

冷えタイプ

寒いところで体を冷やしたり、体を温める機能が低下して体が冷えている状態です。

陰陽のバランスでは陽より陰のバランスが多くなっています。

体が冷えることで臓腑の働きが低下し、消化機能が低下してしまいます。

症状

手足の冷え、顔色が青白い、温かいものを飲みたがる、軟便、下痢、尿量が多く色が薄い

肝タイプ

「肝」は西洋医学でいう肝臓だけではなく、自律神経系や新陳代謝の働きもあります。

全身の「気」と「血」を巡らせたり、「血」を貯蔵したり、消化を助ける働きをします。

そして精神を安定させます。そのためストレスを溜めると肝の機能が低下してしまいます。

肝が気の巡りをうまくできず、胃に負担がかかることで消化機能が落ちてしまいます。

症状

イライラ、足がつる、目の症状、頭痛、肩こり等張るような痛み、ストレスで悪化等

脾タイプ

「脾」は胃と小腸で消化されてできた栄養分を「気」「血」「水」に変化させ、全身に送る働きがあります。

脾の機能が低下すると全身の「気」「血」が不足して食欲不振や疲れにつながります。

消化機能が弱まると、消化能力を超すと下痢になり、未消化物が混じります。

症状

食欲不振、疲れやすい、お腹が張る、食後に眠くなる、軟便、痣ができやすい等

対処法

東洋医学では胃もたれといった症状の場合、胃への血行を促して胃腸を温めることで胃の緊張を解いたり、胃に溜まった水を排出させます。

具体的にはどのような方法が取られているのでしょうか。

食養生

食べる量を調整し、消化のいいものをとりましょう。

油っぽいものや甘いもの、冷たいものは体に「湿」を溜めやすく、消化器官に負担がかかるので控えた方がいいです。

また大根は消化を助けますが、涼性なので冷えやすい人や冬の季節は量を調整したり温めて食べましょう。

肉の食べ過ぎには、山査子(さんざし)、でんぷんの食べ過ぎには麦芽がおすすめです。

食べない養生

暴飲暴食により働き続けた胃腸は疲れて、胃もたれや胸やけを起こします。

そうした場合は1食抜くのがおすすめです。

「食べない養生」で胃腸に休息を与えると、体にたまった毒素を排出できて、体調が整う場合もあります

空腹の感覚

お腹が空いてから食べるといいです。

朝昼晩、きっちり時間通りに食べなければいけないと思い込み過ぎないのが大事です。

空腹の感覚を感じてから食べるようにしましょう。

「腹八分目」

「腹八分目」がいいとよく聞きますが、この「腹八分目」とは何でしょうか。

腹八分目とは、食後の感覚として胃の膨満感がなく苦しくない、体が重くならない、眠くならないの3つを満たした状態です。

それではどうすれば腹八分目の状態にコントロールできるのでしょうか。

噛む回数を意識的に増やすといいです。

ご飯の小盛が寂しかったら、小さめの器を使って少しずつ食事の量を減らしていくのもいいでしょう。

食事中は水分を控える

ただし食事の量を減らすために、食事中に水分を多く摂るのは止めましょう。

胃液が薄まり消化不良になり、むくみの原因にもなります。

飲み物は食後に温かい飲み物を少しずつ飲み程度がいいです。

まとめ

胃での消化が遅くなって、飲食したものが胃の中にいつまでもとどまっているために起こる「胃もたれ」。

東洋医学では、「胃もたれ」とは、主に「気・血・水(き・けつ・すい)」の「気」が不足している「気虚」の状態、あるいは「水」のバランスが悪くなっている「水毒」の状態と考えられています。

そんな「胃もたれ」の症状には、胃への血行を促して胃腸を温めることで胃の緊張を解いたり、胃に溜まった水を排出させるといった対処法が取られます。

具体的には、油っぽいものや甘いもの、冷たいものを控え、とくに肉の食べ過ぎには、山査子(さんざし)、でんぷんの食べ過ぎには麦芽といった食養生がおすすめです。

自分の症状に合った対処法で、早く「胃もたれ」が改善するといいですね。

タイトルとURLをコピーしました