アンチエイジングには欠かせない 鮭

photo of gray fish caught by fishing rod 普段使いの薬膳レシピ
Photo by Marsh Williams on Pexels.com

鮭の原産地や特徴とは?

新巻き鮭に秋鮭、スモークサーモン…日本人とは切っても切れない縁のある魚の一つ、鮭。鮭のおにぎりは、大手コンビニエンスストア各社のランキングでも、常に人気定番おにぎりの上位3位以内に入っているということです。この鮭、実は美容や健康維持には欠かせない、とても体によい成分を含む魚の一つなのです。今回はそんな鮭に迫ってみたいと思います。

photo of gray fish caught by fishing rod
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私たちが知る、いわゆる「鮭」は、サケ目サケ科の魚で、北太平洋、北極海など、北半球に生息しています。川で生まれ、海へと下って行って成長し、数年を経て成魚になると再び生まれ故郷の川へと戻り、産卵してその一生を終えます。

鮭の肉が赤いのは、後にご紹介するアスタキサンチンという成分を多く含む甲殻類を捕食するためで、本来は白身魚であるとされています。

同じ仲間でマスという魚がいますが、鮭が海へ下って成長するのに対し、マスは一生を淡水域で過ごすという違いがあります。

鮭は捨てるところがない、と言われ、魚肉はもちろん、卵はしょうゆや塩に浸けていくらとして、骨や頭はアラ汁として、鼻先の軟骨は一旦冷凍したものを薄くスライスし、氷頭(ひず、ひりょうず)という珍味として珍重されています。

なお、秋になると天然の秋鮭が出回り、私たちの食卓を賑わしてくれますが、鮭にはサナダムシやアニサキスという寄生虫がついていることが多く、生食には向きません。刺身やたたきとして食べる場合は一旦完全に冷凍し、死滅させてから召し上がってください。

(市場に刺身用またはスモークサーモンとして出回っているものは、無菌の生け簀で養殖されたものか、一旦冷凍したものになります。)

鮭の栄養や薬膳的効能

たんぱく質

たんぱく質は三大栄養素の一つで、私たちの骨や筋肉、免疫細胞や白血球のもとになるほか、エネルギー源としても利用されており、私たちの生命維持にもとても大切な栄養素の一つです。

毎日再生されるため、日々取り続ける必要がありますが、ダイエットなどにより不足することもあります。健康維持、美しい髪や肌を維持するためにも、不足しないように取りましょう。

ビタミンD

ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種で、カルシウムやリンの吸収を促し、骨粗しょう症予防の効果が期待できます。ビタミンDが不足すると、くる病になることがあります。これから妊娠を予定している女性は、カルシウムと合わせてバランスよく取っておきたい栄養素ですね。

ビタミンE

ビタミンEは脂溶性のビタミンの一種で強い抗酸化作用を持ち、細胞膜や血管などの老化を予防して、生活習慣病の予防になるほか、血行を促進して体の隅々まで栄養素を届け、アンチエイジング効果が期待できます。

ビタミンB1

水溶性ビタミンの一種、ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変える働きがあり、疲労回復を助けるほか、糖が唯一の栄養素である脳や脳神経系の働きを担う役割があります。

ビタミンB2

ビタミンB2は皮膚や粘膜を健やかに保ち、糖質、たんぱく質、脂質をエネルギーに変換し、疲労回復に役立つほか、口内炎や口角炎などの炎症を抑える働きをしています。

ビタミンB6

ビタミンB6はたんぱく質からエネルギーを生成するほか、皮膚や血液、筋肉を作り出す働きを担っています。不足すると、口内炎や口角炎、湿疹ができやすくなります。

ビタミンB12

ビタミンB12は葉酸とともに血液中のヘモグロビンを作り出す働き、また、脳から発せられる神経の伝達を正常に働かせる作用があります。

アスタキサンチン

アスタキサンチンは鮭の身の赤色の色素のことで、抗酸化作用があり、特に肝臓の活性酸素を除去する働きをしています。

そのため、肝機能の向上に期待できます。

また、脳の老化を防ぐ働きも認められています。

DHA/EPA

DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペタンエン酸)はともにオメガ3脂肪酸の一種です。

DHAは血中コレステロール値や中性脂肪値の低下を、EPAは血管を健やかに保つ働きがあり、生活習慣病の予防や脳機能の低下防止に役立っています。

薬膳で考える こんな時に鮭がおすすめ

中医薬膳学では鮭を下記の通り定義しています。

性味帰経効能適応
甘/温脾胃補気 補欠 温中 理気 滑腸 活血貧血 肌荒れ 胃腸虚弱 無気力 血栓予防

『現代の食卓に生かす「食物性味表」」日本中医食養学会編纂より

冷えが気になるとき

薬膳では、鮭は体を温める作用に優れているといわれています。急に秋の風が吹き始め、寒さを感じるとき、冷えが気になる時には鮭を使ったかす汁などが良いですね。

薬膳では、かす汁に使用する酒粕、また、根野菜類も、体を温める効果に優れているといわれています。

気持ちがふさいでいる時

薬膳では、鮭には理気作用(気の流れを整える)があるといわれています。そのため、気が滞り、イライラしたり、落ち込んでしまったりしているときに食べるとよいといわれています。

肩こり、血行不良

鮭には、血栓を予防したり、滞っている血液をスムーズに流して、血流を改善したりする働きがあるといわれています。

そのため、血行不良などから起こる肩こりにも効果的に働きます。また、血流が整うことから、肌の隅々まで栄養素が行き渡り、美しい肌を保つことができるようになります。

鮭のレシピ

秋鮭ときのこの味噌バター焼き

生鮭やきのこ、たっぷりの野菜を、あらかじめ味噌をぬっておいたアルミホイルに包み、トースターや魚焼きグリルで焼き上げます。

簡単に作ることができ、栄養も豊富においしくいただけます。

薬膳では、バターは五臓の働きを高め、皮膚の乾燥を鎮め、しいたけには気を補い、高血圧の予防、がん予防の効果があるとされています。また、味噌には体をあたため、脂肪肝を予防し、コレステロールの排せつや抑制、高血圧の予防に効果があるとされています。

【材料】   2人分

・秋鮭(切り身)・・・2切れ

・塩・・・適宜

・しいたけ・・・2個

・白ネギ・・・1/2本

・かぼちゃ・・・2切れ

・菊菜・・・2株

・玉ねぎ・・・中1/4個

・じゃがいも・・・中1個

・味噌・・・大さじ1.5程度

 (塩辛さで調整してください。)

・バター・・・大さじ2

・レモン(お好みで)・・・1/4個

【作り方】

  1. しいたけは、汚れていれば湿らせたキッチンペーパーなどで汚れをふき取り、石づきを取って一口大に切ります。白ネギは斜め切りに、かぼちゃ、玉ねぎ、じゃがいもは皮をむいて一口大に、菊菜は洗って根を落とし、一口大に切っておきます。(野菜類はこれに限らず、お好みのものをご利用ください)
  2. 大き目に切ったアルミホイルの中央に味噌を細長く、鮭のサイズに合わせて塗ります。鮭のドリップをふき取り、味噌の上に乗せ、菊菜以外の野菜を彩りよく載せて、密封するように包みます。(綴じ目はすべて上部にあつめ、煮汁がこぼれないように包みます。)
  3. トースターまたは魚焼きグリルで、中火で5分程度、全体に火が通るまで焼き、仕上げにアルミホイルをそっと開いて菊菜とバターを加え、再びアルミホイルの口を閉じて、余熱で火を通します。
  4. アルミホイルごと皿に乗せ、好みでくし切りにしたレモンを添えます。

まとめ

和洋中さまざまな料理で楽しめる鮭。日本人にとってはソウルフードの一つではないでしょうか?日本のみならず、北欧やカナダなどでも愛され、海外では、他の魚は無理でも、鮭なら食べられるという方も多くいらっしゃいます。

さまざまな栄養素や、薬膳的効能を秘めた鮭、秋が旬の魚らしく、体を温める効果にも優れています。ぜひ食事のメインに、ごはんの友やお酒のお当てなどにも活用し、上手にその効能を取り入れてくださいね。

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