不調が続いていても、病院に行くほどではないからと感じたり、体質だからと諦めていませんか?
なかには「未病」といい、病気になる前の不調の段階であったり、調べてもなかなか病名が付かないものも少なくありません。このような症状は近年多くなっており、未病へのアプローチ方法として薬膳が注目されているのです。
薬膳は自宅でもできる体質改善方法として、ぜひおすすめしたいものです。ここでは、気になる不調や免疫力アップに良い薬膳を紹介していきたいと思います。

体質改善におすすめの薬膳の紹介
薬膳スープや薬膳カレーなど、薬膳料理は飲食店でも多く見かけるようになり、私たちの身近な存在になってきました。薬膳と言っても、特別な生薬だけを使っているのではありません。日常のスーパーで手に入る食材を使って実践できるのが、薬膳の魅力でもあります。
家でも実践しやすいおすすめの食材を中心に、症状別にご紹介していきましょう。
朝がつらい
朝が苦手という人は意外と多いもの。もちろん、夜は早めに休んで朝は日光を浴びて自然な目覚めを促すなど、身体にとって理想的な生活スタイルを実践することはとても大切です。
しかし、それだけでは改善せず朝がつらいと感じる人は、気のエネルギーが不足する「気虚(ききょ)」の可能性が。薬膳を利用してしっかり改善していきましょう。
卵、鰻、にんにく
気虚の人は、胃が弱っていることが多いため、胃を強くすることが重要です。スタミナが出る食材としてのイメージも強い、鰻やにんにくもおすすめですよ。さらに「水」のエネルギーが不足すると「血」が不足するので、「水」を補うことも大切です。
【効能】
卵:「水」を補う
鰻: 滋養強壮や、血を補う効果が期待できる
にんにく: 胃腸の調子を整える
【おすすめの食べ方】
できるだけ、胃に負担のかかりやすい刺激物や揚げ物は避けた方が良いでしょう。市販の鰻の蒲焼を使った鰻の卵とじや、う巻き(鰻を入れた卵焼き)がおすすめですよ。
慢性的な浮腫み
慢性的に浮腫んでいると、身体も疲れやすくなります。身体のさまざまな不調へも繋がりやすいので、浮腫みは早めに解消するように心がけましょう。
そら豆、海老、とうもろこし、小豆
慢性的な浮腫みには、利尿作用のある食材がおすすめ。腎と脾胃の機能を高めることが大切です。排尿が促され、身体の余分な水分を排出し、浮腫みを解消します。
【効能】
そら豆: 腎の働きを活発にし、水分の排出を促す
海老: 腎の働きを良くする
とうもろこし、小豆: 脾の働きを良くする
【おすすめの食べ方】
そら豆と海老は、一緒に塩炒めにすると彩りも良く、お弁当にも入れられます。とうもろこしは、電子レンジで加熱すると簡単で栄養素も流れにくくおすすめですよ。
イライラしやすい
仕事や家事に子育てなど、現代の女性はとても忙しく、ストレスを感じている人も多いでしょう。イライラはストレスから来るものだけではありません。特に女性は、生理などによるホルモン変化の影響でもイライラしやすくなります。
蕎麦、大根、菜の花
肝が弱っていると、ストレスを感じやすくなります。イライラしている時には、肝の気の巡りを良くする食べ物を摂るのがおすすめです。
【効能】
蕎麦、大根: 溜まった気を砕いて巡りを良くする
菜の花: 自律神経の乱れを整える
【おすすめの食べ方】
大根おろしと一緒に食べるおろし蕎麦がおすすめ。お蕎麦は仕事中のお昼ご飯でも選びやすい食べ物なので、ぜひ取り入れてみてください。自律神経の乱れを整える菜の花を天ぷらにして、一緒に食べるもの良いですね。
冷え性
冷え性は男性と比べて女性に多く、冬場はもちろん、夏の冷房による冷えも悩みの一つとなっている人も多いでしょう。
冷えは生理痛を起こしやすかったり、婦人病のリスクも高まります。一年中冷えが気になるという人は特に気を付けましょう。
レバー、黒米、黒ゴマ、クコの実、生姜
冷え性にもさまざまなタイプがありますが、血の巡りを良くするということが大切です。
また、腎の働きを助ける黒色の食材もおすすめですよ。
【効能】
レバー: 血を補う
黒米、黒ゴマ: 腎の働きを助ける
クコの実、生姜: 身体を温める
【おすすめの食べ方】
生姜をたっぷり使った鶏レバーの甘辛煮を食べるのがおすすめです。黒米は白米に混ぜて炊くと綺麗な紫色に。もち米と合わせておはぎにするのも良いですね。
不眠
不眠症は専門外来があるほど患者数が多く、それだけ不眠に悩まされている人が多くいます。
不眠症は睡眠不足になりがちで、日常生活にも影響が出やすくなります。そのため、できるだけ早めに対応したいところです。自宅でもできる薬膳を積極的に取り入れていきましょう。
ヘチマ、ゴーヤ、豚肉、山芋
不眠の症状に悩まされている人は、身体の熱を取ったり、情緒を落ち着かせるということが大切です。さらにビタミンB1やビタミンCなどが不足すると、情緒が不安定になりやすくなります。
【効能】
ヘチマ、ゴーヤ: 身体の熱をとり、精神的な不安を解消する
豚肉: ビタミンB1が豊富
山芋: 「気」や「潤い」のエネルギーを補う
【おすすめの食べ方】
ヘチマは食材としては馴染みのない人も多いかもしれませんが、古くから薬膳料理として使われてきました。ゴーヤや豚肉と一緒に味噌炒めにすると、トロッとした食感が美味しくおすすめです。ヘチマがない場合はナスを使って作っても良いですよ。
疲れやすい
少し歩いただけで疲れたり、一日の終わりにどっと疲れが出るなど、さまざまな理由で疲れやすくなっていたら要注意。「血」が不足している可能性が高いので、食事でしっかり改善していきましょう。
牛肉、玉ねぎ、柑橘類
柑橘類はその香りに気の巡りを良くする効果が期待できます。薬膳では陳皮(ちんぴ)といってみかんの皮を使った生薬も広く使われています。
【効能】
牛肉: 血を補う
玉ねぎ、柑橘類:気の巡りを良くする
【おすすめの食べ方】
薬膳料理として家庭でも実践しやすい調理法としては、マーマレードを使ったスペアリブがおすすめです。お肉は玉ねぎに浸けることで柔らかく、食べやすくなりますよ。
肌に潤いがない
秋になると肌も乾燥し、潤いがなくなってきます。肌のトラブルは女性なら特に気になるものですね。
化粧水だけではなかなか身体の中から潤いません。薬膳を摂取して身体の中からしっかり潤いを与え、改善していきましょう。
蓮根、白ゴマ、梨
中医学では、身体の潤い物質を表す「津液(しんえき)」と呼ばれるものがあります。肌の潤いを保つためには、津液を補うことを意識しましょう。また、「肺」のトラブルでも肌の乾燥が起こりやすくなるので注意が必要です。
【効能】
蓮根: 津液を補い肌を潤す
白ゴマ: 便通を促し、腸での栄養素の吸収を良くする
梨: 「肺」を潤し肌の乾燥を防ぐ
【おすすめの食べ方】
蓮根のきんぴらの仕上げに白ゴマをかけるのがおすすめ。梨はそのまま食べられるので手軽に摂取できます。積極的に取り入れたい食材ですね。
免疫力を上げたい
免疫力は、さまざまな感染症に対する対策としても重要視されています。今のご時世では特に気になる人も多いでしょう。冬になるとインフルエンザなども流行するので、日ごろから対策しておきたいところです。
山芋、松の実
松の実は、購入したことがないという人も多い食材かと思いますが、最近はスーパーでも見かけるようになりました。やや高価ではありますが、薬膳でも代表的な食材の一つなので、ぜひ取り入れてみてください。
【効能】
山芋: 気を補い、身体を乾燥から守る
松の実: 滋養強壮や免疫力を上げる効果が期待できる
【おすすめの食べ方】
松の実は参鶏湯にして食べるのがおすすめ。参鶏湯は本来、丸鶏を使って作るものですが、手羽元でも手軽に作ることができます。
もし松の実を手に入れるのが難しければ、市販のジェノベーゼを使ったパスタが手軽でおすすめです。ジェノベーゼには原材料に松の実が使われています。松の実は高価なため、なかには代用品のナッツ類が使われていることもあるので、しっかり原材料を確認して購入しましょう。
まとめ
慢性的な体の不調は、緊急性がないと感じてどうしても対応をあとに回しがちになります。後々大きな影響を起こさないためにも、早めの対策が大事です。
毎日の食事を見直し、無理をせず少しずつ改善していきましょう。