漢方と心不全

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Photo by Matthias Zomer on Pexels.com

少しマニアックな内容です。

高齢化社会がすすんで、心不全の患者も増えつつあるということで心不全パンデミックという言葉も多く使われるようになってきました

漢方を使うことで心不全のコントロールが少しでもよくならないものか

今日は漢方と心不全の話。

緩和ケアが必要なのは心血管疾患

終末期に緩和ケアを必要とするひと、というと

まず思い浮かべるのは「がん」とだと思います。

しかし、実のところ2014年のWHOの報告では

1位が心血管疾患

2位にがん

なのだそうです。びっくりしました

心不全の早い段階で、積極的治療似合わせて緩和ケア、ACP(Advance care planning)を導入することが急性慢性心不全診療ガイドラインでも推奨クラスⅠになっています。

心不全とフレイル

心不全ではむくみがでることで腸管からの栄養が吸収されにくくなります。

むくむことで食欲もわきにくくなります

心不全がひどい状態では食事もままならないことからフレイルになることは必須です。

心不全と東洋医学

東洋医学的に、心不全では「水毒」「冷え」という病態が多くみられます。

「冷え」

循環が悪くなると末梢はひえてきます。心不全では四肢の冷えは多くみられます。東洋医学的に下痢や倦怠感といったものも冷えの状態に含まれます

冷えの漢方は大建中湯、真武湯、人参湯、牛車腎気丸といった温熱薬です。

「水毒」

心不全=むくみ、というイメージのそのままです。水毒はむくみだけでなく、体液の偏在も表しますが、個人的には心不全は体液の過剰がメインかと思っています。

水毒に対しては利水作用をもつ漢方薬が使われます(五苓散、真武湯、苓桂朮甘湯など)

心不全という病態は、体中のむくみがでてきますが、腸管のむくみ、それによる低栄養などもでてきます。同時にみられるフレイルを東洋医学では「脾虚」「腎虚」の状態となります

「脾虚」

食欲不振や気力の低下、疲労をきたしている状態です。「脾」は消化機能をあらわしており、脾虚は消化機能が弱まり、食べ物がうまくエネルギーに変換できません。

「腎虚」

腎臓は生命エネルギーをためてあるところで、体のバッテリーです。エネルギーが枯渇している状態になっており、脱力感や夜間の頻尿、腰や下肢の痛みなどがでてきます。

土倉内科循環器クリニックから引用

個人的には、循環器ではどうしても投薬種類が増えてしまうし、少しでも1日の内服回数を減らしたいと思っています。

重症になってからでなく早期から導入すべし、といっていましたが早期の少ないとはいえ複数飲まなければいけない薬があるところにさらに形状の違う漢方の薬をaddするのは少し抵抗を感じてしまいます。

漢方は好きで処方しますが、なかなかどういう人に処方をするか悩みますね

この本も買おうかな・・・