生活習慣病予防に効果的なまいたけ

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きのこの中でもひときわ目を引く、ちょっと変わった形のまいたけ。しいたけなどと比べて、どの程度召し上がっておられるでしょうか?まいたけは他のきのこに負けず劣らず、とても豊富なビタミンやミネラルなどの栄養素を含んでおります。今回はそんなまいたけの栄養素や薬膳での効能などをご紹介します。

まいたけの原産地や特徴とは?

まいたけはサルノコシカケ科まいたけ属に分類され、日本をはじめとするアジアからヨーロッパ、アメリカ大陸など、世界中の温帯域に自生するきのこの一種で、ブナ科の樹木に寄生しています。

香りのよさが特徴で、日本では古くから食用として利用されていましたが、人工栽培が難しく、とても貴重なきのこだったようです。そのため、天然のものを山で見つけると、舞い上がるほどうれしい、ということから、「まいたけ」と呼ばれるようになったとされています。これには諸説あり、現在のまいたけに似た姿をした、食べると踊るように痙攣する毒きのこをかつて「まいたけ」と称していて、時を経てその名前だけを現在のまいたけが引き継いでいるという説もあります。

日本では新潟県で多く栽培され、黒みがかった茶色いものに加え、白いものもあります。色による栄養価の違いはほぼないといわれています。

現在はそのほとんどが菌床栽培のもので、ごくまれに原木栽培のまいたけを見ることができますが、原木栽培、また、天然ものの方が、味、香りともに強いといわれています。

まいたけの栄養や薬膳的効能

過去にはあまり栄養がない、と言われたこともあるきのこ類ですが、実はとても栄養豊富な食品の一つなのです。

骨粗しょう症予防にビタミンD

ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種で、カルシウムの吸収を助け、骨や歯の強化を助けています。ビタミンDが不足すると、くる病や骨粗しょう症を招きます。

食品から摂取するほか、太陽を浴びることで、体内でもある程度作り出すことができます。

ビタミンDの前身 エルゴステロール

エルゴステロールはきのこ類に含まれる物質で、ビタミンDの前身にあたる物質で、このエルゴステロールが紫外線に当たることでビタミンDが生成されます。

ダイエットの味方 ナイアシン

ナイアシンは水溶性のビタミンで、糖質や脂質、たんぱく質からエネルギーを作り出す働きがあります。ナイアシンが不足すると皮膚がうろこ状になる皮膚病になったり、消化不良や認知症などを引き起こしたりすることがあります。

免疫力を高める βグルカン

βグルカンは、きのこや酵母の細胞膜に含まれている食物繊維の一種です。マクロファージやナチュラルキラー細胞、リンパ球などの免疫細胞を刺激し、その働きを強化します。

中医薬膳学では、まいたけを下記の通り定義しています。

性味帰経効能適応
甘/微温補五臓 補気 養身体糖尿病・コレステロール値の低下・肥満予防・美肌効果

薬膳で考える こんな時にまいたけがおすすめ

・疲れが取れず、体力が不足している時、生活習慣病が気になる時

薬膳では、まいたけは補五臓(肝・心・脾・肺・腎の働きを補う)、補気作用があるといわれています。五臓とは、薬膳でいうところの私たちの生命の基本である、気・血・津液を生み出す臓器類、また、気をも補ってくれるという、とても頼もしい食材の一つです。

積み重なった疲れが抜けないとき、例えばみそ汁に1/2株プラスする、いつもの野菜炒めに1株加えてみる、という風に、普段のメニューにちょっと足す感覚で加えてみてくださいね。

また、まいたけには血糖値、コレステロール値を下げる働きもあります。生活習慣病が気になる方にもおすすめです。

漢方薬の猪苓、茯苓などは、まいたけと同じサルノコシカケ科のきのこであることからも、まいたけの薬膳的な効能をはかり知ることができますね。

まいたけレシピ

まいたけのうまみ成分は水溶性なので、できれば汁物や炊き込みご飯などのように煮汁まで食べることができるメニューが適しています。しかし、茶色いまいたけは煮汁に色が出てしまいます。茶色いまいたけと白いまいたけ、薬膳の効能的には、さほど違いはないと言いますので、白く仕上げたい料理には白まいたけを利用するとよいでしょう。

また、まいたけにはたんぱく質を分解する「まいたけプロテアーゼ」という物質が含まれています。そのため、生の肉類に下味をつける段階で合わせておくと、肉類を柔らかく仕上げることができます。

しかし、もともと柔らかい卵などと合わせるときは、その働きで加熱しても卵が固まらなくなってしまうことがあります。卵とともに料理するときは、あらかじめ加熱したまいたけを合わせてくださいね。

まいたけと牛肉の中華風おこわ

まいたけの旨みに牛肉、ごぼうを合わせて、旨みもたっぷりの具を作り、おこわの蒸し上がりに加えて仕上げます。

薬膳では、牛肉は脾胃を補い、血や気を益し、筋肉や骨を増強するといいます。また、ごぼうは体の熱を取り、解毒作用があり、痒みを抑え、便通改善に効果があるといわれています。

また、もち米は薬膳では体を温め、胃腸の働きを高めて、気を養い、多汗、下痢を抑えるといわれています。

ボリュームがあるので、育ち盛りの子どもや若い男性にも満足していただける一品です。

もち米を蒸すのが億劫な時は、炊きあがったごはんに③を混ぜ込み、混ぜご飯にしてもおいしいですよ。

【材料】    約5膳分

・牛肉(薄切り・切り落としなど)

150g

・まいたけ   1パック

・ごぼう    20cm程度

・オイスターソース

        大さじ2

・しょうゆ   大さじ1

・ごま油    大さじ1

・もち米    2合

【作り方】

  • もち米は洗って30分~1時間程度浸漬しておきます。
  • 牛肉は太めの千切りにし、まいたけはざくざくと粗くほぐします。ごぼうは千切りにしておきます。
  • フライパンにごま油を熱し、牛肉を炒めます。色が変わったらごぼうを加え、全体に火が通ったらオイスターソース、しょうゆ、まいたけを加えて炒め合わせ、しょうゆ適宜(分量外)で味を整えます。
  • ①のもち米の水気を切り、蒸気の上がった蒸し器に入れて蒸します。中心に少し芯が残る程度まで蒸せたら、③の具のボールに入れて全体にむらなく混ぜ合わせます。
  • ④を再び蒸し器に戻し、中心までしっかりと火が通るまで蒸します。

まいたけの黒酢マリネ

電子レンジでさっと作ることができる、まいたけの黒酢マリネは、箸休めの一品として、肉や魚介のソテーの付け合わせにぴったりです。さっぱりとして食感もよいので、ぜひお試しくださいね。

黒酢は、薬膳では体を温め、血行促進、動脈硬化や高血圧の改善、食中毒予防、消化不良や魚介による食中毒やアレルギー反応の解消に効果があるといわれています。

【材料】   作りやすい分量

・まいたけ・・・1パック

・しょうゆ・・・大さじ2/3

・黒酢・・・大さじ1

【作り方】

  • まいたけは一口大にほぐし、耐熱容器に入れて電子レンジ600Wに1分30秒程度かけます。
  • ①にしょうゆ、黒酢を合わせたものをまわしかけ、さらに30秒程度加熱します。

お好みでごま油少々(分量外)を加えてもコクがあり、おいしくなりますよ。

まとめ

薬膳では、まいたけが体によいことは古くから知られていましたが、昨今の栄養分析や研究の結果が、その事実を証明してくれていますね。本来、梅雨や秋が旬のきのこ類ですが、栽培技術の発展から、多くの種類を通年楽しむことができるようになってきました。

せっかくなので、健康のためにも毎日少しずつ取りたいですね。

なお、まいたけに限らず、きのこ類は、食中毒予防の観点から生食はできません。2分程度で大丈夫なので、必ず加熱して召し上がってくださいね。

薬膳の調理法としては、蒸すか煮るかして食べるのがおすすめです。