【薬膳】ブロッコリーはデザイナーフーズの上位に位置する健康野菜

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一年を通して野菜コーナーで入手でき、手がるに使えて彩りを添えることもできるブロッコリー。便利なだけではなく、とても優れた栄養を含んでいることはご存じでしょうか?今回はブロッコリーの栄養価や薬膳の効能、おいしいレシピをご紹介します。

close up photo of broccoli on green tray
Photo by Polina Tankilevitch on Pexels.com

ブロッコリーの原産地や特徴とは?

ブロッコリーは栄養価が高いといわれるアブラナ科の野菜、キャベツや白菜、大根などと同じ仲間です。原産地は地中海沿岸と考えられており、ローマ皇帝の時代にはすでに野菜として栽培され、食べられていたようです。その後、ヨーロッパ内には広まりましたが、世界各国に伝えられることはありませんでした。

菜の花のように花を食用にされていたものをイタリアで品種改良し、あのような形になりましたが、現在のように食べられるようになったのは、1900年代初頭にイタリアからアメリカに移住した人々が栽培を始めたのがきっかけだといわれています。

最初に日本へ入ってきたのは明治時代初期のことです。しかし、冷蔵庫がない時代、ブロッコリーの花蕾は次々と花を咲かせてしまったり、腐ったりしてしまうことがあり、日持ちがしないため、当時はあまり広がることはありませんでした。

本格的に食べられるようになったのは戦後、冷蔵庫が普及し、また、洋食文化が広まってからのことです。2018年のデータによると、北海道は21,700t、ついで愛知県、香川県、埼玉県と続いています。

ブロッコリーの栄養

  • ビタミンK

ビタミンKは怪我をしたときなどの出血を止める働きがあります。また、ビタミンDとともに骨にカルシウムを沈着させる働きがあるため、不足すると骨粗しょう症を引き起こしやすくなります。

  • ビタミンE

ビタミンEは抗酸化作用が強く、活性酸素による細胞が酸化したり傷ついたりすることを防ぐため、「若返りのビタミン」とも呼ばれています。

また、細胞の酸化は、老化だけではなくガンや糖尿病、動脈硬化などをも引き起こすこともあります。毎日少しずつ取っておきたい栄養素の一つですね。

  • ビタミンB2

ビタミンB2は脂質、糖質、炭水化物の代謝を担う酵素の働きを助ける働きがあります。また、ビタミンB2は肌や粘膜、眼の角膜を健やかに保つ働きがあり、不足すると口角炎などを引き起こすことが知られています。

  • ビタミンB6

ビタミンB6は、私たちの体内にあるたんぱく質の分解や合成を補助し、皮膚、粘膜の健康を守ったり、成長を促進したりする働きがあります。また、脂質の代謝を助け、脂肪肝や動脈硬化を予防しています。

  • 葉酸

葉酸はビタミンB群の一種で、ビタミンB12とともに赤血球の合成を担っているため、「造血のビタミン」とも呼ばれています。たんぱく質や細胞の合成に必要なさまざまな酵素の働きを補い、成長を促す働きがあります。

さらに妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児の神経の発達に異常をきたすことがあります。妊娠を希望する女性は早くから葉酸を含む食品をしっかりと取っておくことが大切です。

  • ビタミンC

ビタミンCは肌や粘膜のコラーゲンを生成する働きがあり、肌にハリを生んだり、メラニンの生成を遅らせてシミを予防したりする作用があります。

また、私たちが心身を問わずストレスを受けた場合、体内では多くのビタミンCを消費しています。そのため、ストレスを多く受ける環境にある方は意識してしっかりと取る必要があります。

  • スルフォラファン

スルフォラファンはブロッコリー以外のアブラナ科の野菜にも含まれている辛味成分です。特にブロッコリースプラウトには多く含まれていて、抗酸化作用が強く、老化防止のほか、体内の解毒酵素の働きを活性化させるほか、肝機能を向上したりピロリ菌の感染を予防したりする効果があり、胃がんの予防に効果的だとされています。

ブロッコリーの薬膳的効能

中医薬膳学ではブロッコリーを下記の通り定義しています。

性味帰経効能適応
甘/平肝脾腎補腎 強壮 健脾 補五臓胃弱 腎機能低下 がん予防 虚弱体質改善

『現代の食卓に生かす「食物性味表」」日本中医食養学会編纂より

薬膳で考える こんな時にブロッコリーがおすすめ

・胃腸が疲れ、体力が落ちているとき

 薬膳では、ブロッコリーには胃腸の働きを強め、体力をつけ、強健な体づくりに役立つといわれています。しっかりと体力をつけたい時には、滋養効果が高いごまと合わせて手軽に作ることができる、ブロッコリーの胡麻和えがおすすめで

・がん予防を意識したいとき

薬膳ではブロッコリーにはがん予防効果があることが知られていました。アメリカ国立がん研究所が、がん予防に効果があると考えられる食材を、その効果順にピラミッドに表しました。ブロッコリーは約40種の野菜とともに選ばれています。

このピラミッドの頂点に掲載されているにんにくを効かせたパスタがはいかがでしょうか?す。

ブロッコリーレシピ

フィジッリのブロッコリーソース

ネジのような形をしたパスタ、フィジッリは、その隙間にしっかりとソースを受け止めることができます。一つの鍋で茹でたブロッコリーとフィジッリを、オリーブオイル、にんにく、アンチョビで香りをつけて仕上げます。

【材料】    (2人分)

・ブロッコリー・・・1/4株

・フィジッリ・・・160g

・オリーブオイル・・・大さじ2

・にんにく・・・1かけ

・唐辛子・・・1/2本

・アンチョビ・・・1枚

【作り方】

※ブロッコリーの下ごしらえ

ブロッコリーは複雑な形をしていて、栽培中の土ホコリや虫などが入り組んだ内側に入ってしまっていることがあります。小房に分け、表面だけでなく裏側からも流水をあて、しっかりとすすいでください。春先など虫の混入が気になる場合は、ボールに張った水の中にブロッコリーを入れ、浮かないようにザルや皿を乗せて沈めておきます。

暫くすると虫は内側から出てくるので取り除くことができます。

  1. ブロッコリーは上記下ごしらえの方法を参考に小さめの小房に分け、きれいに洗っておきます。
  2. 鍋に湯を沸かし、水1リットルに対して30gの塩を入れ、パッケージの表示通りの時間でフィジッリを茹で始めます。残り5分のところで①のブロッコリーを加え、一緒に茹でます。

フィジッリを茹でている間ににんにくのソースを作ります。

  1. にんにくは皮をむいて縦半分に切り、芽を取り除き、鍋底などで軽く叩きつぶしておきます。唐辛子はさっと洗い、種を取り除いておきます。
  2. フライパンにオリーブオイル、にんにく、アンチョビを入れて弱めの中火にかけ、じっくりと火を通してアンチョビをつぶしておきます。
  3. フィジッリとブロッコリーが茹で上がったらザルに取り、②のフライパンに移して、ブロッコリーをつぶしながら、全体を絡めるように炒め合わせます。

まとめ

一年を通して、安定して入手できるブロッコリーは、今や私たちの食卓には欠かせない野菜の一つですね。付け合わせの一品として、お弁当の彩りとして、使いやすいうえに栄養価も高く、常に冷蔵庫に入れておきたいものです。

なお、軸の部分は厚めに皮をむいてキンピラやお味噌汁の具材としても利用できます。軸にも、花蕾同様多くの栄養素が詰まっています。捨てることなく召し上がってくださいね。