
朝起きたら顔が浮腫んでいる。何だか身体の調子が悪いと感じる。そんな気になる症状が出たときに、薬膳を知っていると自分自身で体調を整えることができます。
軽い症状であれば、まずは病院に行かずにお家で薬膳を取り入れてみてはいかがでしょうか?
ここでは、急性的な身体の気になる症状を中心に紹介したいと思います。
症状別の薬膳の紹介
毎日、目まぐるしい日常を送っていると、風邪をひいてしまったり胃腸や目の疲れを感じたり、昨日までとは違った不調が出てくることも少なくありません。
急に出てきた症状には、薬膳で改善を図りましょう。それぞれ症状別におすすめの食材を紹介していきたいと思います。
風邪の症状
風邪の症状と言っても、寒気がして水のような鼻水が出たりする風邪と、熱が出て濃度の濃い黄色い鼻水が出たりする風邪とでは、食べるものも変わってきます。
生姜、葱、葛粉、大根
生姜や葱、葛粉や大根とではそれぞれ効能が違います。風邪の症状によって使い分けましょう。
【効能】
生姜、葱: 発汗作用があり、肺、脾、胃を温めて咳を止める
葛粉、大根: 体の炎症を抑える
【おすすめの食べ方】
寒気をともなう風邪の場合は、身体を温める生姜や葱を積極的に摂りましょう。温かいお粥や鍋に入れて食べるのがおすすめです。
熱がある場合は、葛粉を葛湯にして飲んだり、大根を蜂蜜漬けにし、大根のエキスが十分に出た蜂蜜シロップをお湯で割って飲むと良いでしょう。
喉の痛み
喉の痛みがあるときには、炎症を抑え咳止めの効果がある食材を選びます。肺が弱ると、粘膜が乾燥し喉の痛みや咳が出やすくなるため、肺を潤すことも大切です。
大根、蜂蜜、蓮根
熱を伴う風邪の症状でもおすすめした大根や蜂蜜は、炎症からくる喉の痛みにもおすすめです。蓮根の粘りは滋養強壮にも役立つので、積極的に摂っていきたい食材ですね。
【効能】
大根: 体の炎症を抑える
蜂蜜: 体の炎症を抑えたり、肺を潤す作用がある
蓮根: 肺を潤す作用がある
【おすすめの食べ方】
大根の蜂蜜漬けはもちろん、すりおろした蓮根と豆腐や鶏ひき肉を使って、豆腐ハンバーグを作ってみるのもおすすめ。大根おろしをのせて、酸味の少ない和風ドレッシングをかけて食べると喉も通りやすくなります。
夏バテや熱中症
毎年記録的な暑さとなっている日本では、その暑さに体が慣れているという人はまだまだ多くはありません。
夏バテや熱中症の症状には、夏の薬膳を積極的に摂取し改善を図ります。夏は心の働きが活発になり発汗しやすくなるので、心を落ち着かせることも大切です。
ゴーヤ、きゅうり、鶏卵、豚肉
きゅうりは夏野菜として知っているけど、ほとんどが水分で栄養がないのでは?と思っていませんか?きゅうりは夏の薬膳として挙げられるもので、夏バテにおすすめなのです。
夏の薬膳のそれぞれの効能や、おすすめの食べ方について見ていきましょう。
【効能】
ゴーヤ、きゅうり: 熱を冷まし水分の代謝をうながす
鶏卵: 心を落ち着かせる効果がある
豚肉: 心機能を整える
【おすすめの食べ方】
ゴーヤや卵、豚肉を材料に使うゴーヤチャンプルーは、疲労回復効果もあり、夏バテを解消するにはとても理にかなったおすすめの薬膳料理なんです。
きゅうりは浅漬けにしておくと塩分も一緒に補給でき、熱中症対策にもなりますよ。
目の疲れ
パソコンやスマートフォンの画面の見すぎで、目が疲れてしまうという経験はありませんか?中医学では、肝に貯蔵される血液(=肝血)が不足していると、目の疲れが起こりやすくなると考えられています。
その日の疲れはその日のうちに、しっかりケアして一日を終えるようにしましょう。
クコの実、ひじき、人参、菊花
クコの実は美容にも良い食べ物として、薬膳を超えて人気の食材です。菊花(菊の花)は中国では2000年以上も前から栽培され、生薬として重宝されてきました。
ひじきや人参などの手に入りやすい食材は、すぐにでも実践することができるのでぜひ取り入れてみてください。
【効能】
クコの実、菊花: 目の疲れを癒す働きがある
ひじき、人参: 血を補う働きがある
【おすすめの食べ方】
菊花はあまりスーパーなどで手に入る食材ではありませんが、菊花茶として中国茶を販売しているお店で扱っています。やはり菊花茶として飲むのがお手軽で良いしょう。
クコの実はお茶のなかに入れたり、スープやお粥など、さまざまな食べ方ができる食材です。
ひじきや人参は、炊き込みご飯などにするとたっぷり摂取できるのでおすすめですよ。
お腹の調子が悪い
便秘や下痢など、お腹の調子が悪いときには、普通の食事を摂ること自体難しくなってしまいます。胃腸の調子を整える効果のある食材や、消化に良い食材を摂るようにしましょう。
牛肉、人参、サツマイモ、山芋
便秘や下痢などでお腹の調子が悪いときには、牛肉、人参、サツマイモ、山芋がおすすめです。お肉は消化に悪そうですが、牛肉は胃腸の調子を整えるので積極的に摂取したい食べ物です。
便秘や下痢など不調の種類によって摂る食材も違うので、しっかり使い分けましょう。
【効能】
牛肉: 胃腸の調子を良くし、下痢を改善する効果が期待できる
人参、サツマイモ: 胃腸の調子を良くし、便秘の改善に繋がる
山芋: 胃腸の調子を良くし、消化を助ける効果が期待できる
【おすすめの食べ方】
下痢をともなうお腹の不調には、牛肉を大きな塊で柔らかく煮込んだり、テールスープで温かいスープとして食べるのがおすすめ。
山芋は消化を助ける作用があるので、一緒に摂取するとより効果を高めることができます。山芋は特にねばりの強いものを選び、すりおろして食べるとより効果が期待できますよ。
便秘によるお腹の不調には、人参をたっぷり使ってキャロットラペを作ったり、根菜の炊き合わせなどをすると良いでしょう。
二日酔い
最近は、外食や飲み会の機会は減少している人が多いかもしれませんが、リモート飲み会など、家でお酒を飲む機会が増えたという人も多いのではないでしょうか?
家での飲酒はそのまま横になれたりするため、ついつい飲みすぎてしまうことも。二日酔いになったときは、肝機能を良くするものを摂りましょう。
また、水分が体内に溜まる「水毒」を解消することで、アルコールを体外に出すことができます。
シジミ、トマト、大根、もやし
二日酔いにはシジミが効くと聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?身体の熱を取るトマトや大根、もやしも二日酔いにはおすすめですよ。
【効能】
シジミ: 肝に働きかけ、アルコールの分解を促進する
腎に働きかけ、体内の水の代謝をうながす
トマト、大根: 身体の熱を冷ます
もやし: 身体の熱を冷ましたり、水毒を解消する
【おすすめの食べ方】
シジミはお味噌汁として食べるのが定番となっており、シジミのエキスをしっかり採ることができるのでおすすめの食べ方ですよね。
ここでさらにおすすめしたい食べ方が、アクアパッツァです。通常シジミを使うことはありませんが、旬のお魚にシジミやイカ、タコなどの魚介とミニトマトを合わせると、薬膳としての効能はもちろん、うま味も最大限に引き出すことができます。
特別な味付けをせずにうま味が詰まったアクアパッツァなら、食欲が無くてもついついお箸が進みますよ。
大根やもやしは、サラダにして食べるとさっぱりとして二日酔いでも食べやすく、おすすめです。
浮腫み
朝起きたら顔が浮腫んでいる。一日中立ちっぱなしで足がパンパン。このような浮腫みには、発汗作用のある食材がおすすめです。身体を冷やす食材は避け、温めて浮腫みを解消しましょう。
栗、唐辛子、鯵、海老、黒豆、小豆
栗や唐辛子、鯵、海老、黒豆、小豆には血流を良くする作用があります。血流を良くする食材はさまざまなものがあるので、薬膳として気軽に取り入れやすいですね。
【効能】
栗、唐辛子、鯵: 血流を良くし、手足の冷えを改善する
海老、黒豆、小豆: 血流を良くし、全身の冷えを改善する
【おすすめの食べ方】
ここでご紹介するおすすめの食べ方は、おかずにも最適な鯵のピリ辛焼きです。
片栗粉をまぶして揚げ焼きにした鯵に、砂糖、醤油、酒、鶏がらスープの素、豆板醤、輪切りにした唐辛子を混ぜて作った甘辛いタレを煮からめ、美味しいおかずとして楽しみましょう。
これからの季節は栗ご飯もいいですね。黒豆茶も手軽に摂取できるのでおすすめですよ。
まとめ
今回ご紹介した薬膳は、1回の摂取で急激な効果が出るわけではありません。
しかし、不調に気づいたときに意識して摂取したり、その食材の効能を知っておくことで、徐々に身体の調子を本来の状態に整えることに繋がります。
気になる症状があらわれたときに、通常の食事のなかにまずは気軽に薬膳を取り入れてみることから始めてみてはいかがでしょうか?