サバは血行促進、疲労回復におすすめ

  1. ホーム
  2. 症候
  3. サバは血行促進、疲労回復におすすめ

サバの原産地や特徴とは?

サバはスズキ目サバ科に属する肉食の回遊魚の一つです。日本近海に生息するのは、私たちになじみ深いマサバ、ゴマサバのほか、日本の南西諸島沖で水揚げされる二条サバ、グルクマがあります。

日本の太平洋沿岸で主に水揚げされるマサバは、回流に乗って春に北上し、秋にかけて産卵のために南下しています。秋になり、北海道から茨城県に南下してくるサバは脂がのり、「戻りサバ」として、大切に食べられています。

silver fish on brown wooden table
Photo by Nikita Belokhonov on Pexels.com

一方、九州方面で水揚げされるものは冬に旬を迎えます。特に流れのはやい豊予海峡で水揚げされるサバは関サバと呼ばれ、今では有名なブランドサバですね。

日本での2017年(平成29年)におけるマサバの漁獲量は、1位が茨城県、ついで長崎県、静岡県と続いています。

サバは日本では古くから食べられていて、縄文時代の三内丸山遺跡からも、サバの骨が出土しています。古くから愛されているサバは、秋田県の鯖寿司、若狭地方ではへしこ、福岡では胡麻サバ(サバの種類ではなく、料理名)滋賀の鯖そうめんや京都の鯖寿司など、全国各地にそれぞれのおいしい食べ方があるのも、その歴史を感じるところです。

また、ノルウェーで水揚げされる大西洋サバは脂の乗りがとてもよく、調理用として、サバ缶の原料として、日本にも多く輸入されています。

サバの栄養

  • たんぱく質

たんぱく質は脂質、糖質とともに三大栄養素と呼ばれ、とても大切な栄養素の一つです。たんぱく質は体重のほぼ1/5を占め、筋肉や骨の基礎となるほか、内臓や血管、血液、免疫細胞の成分となっています。また、1gあたり4kcalのエネルギーを産生することもできます。

鉄は血液中のヘモグロビンの中に含まれ、呼吸で取り込んだ酸素を体の隅々まで送り届ける働きがあります。鉄分が不足すると、鉄欠乏性貧血を引き起こし、頭痛や息切れ、動悸などを引き起こします。

  • 亜鉛

亜鉛は新陳代謝の際に起こるDNAのコピーを正常に行い、肌や粘膜を健やかに保つ働きがあります。亜鉛不足になると、舌のうえにある味蕾という味を感じる器官の代謝が滞ると、味覚障害になることがあります。

銅は血液中の赤血球を正常に作られるのを助ける働きがあります。そのため、鉄分をしっかりと取っていても銅が不足すると貧血を引き起こしてしまうことがあります。また、私たちの体内で働く多くの酵素のもとになり、骨の形成や活性酸素の除去など、さまざまな働きがあります。

  • ビタミンD

ビタミンDは食事からとるほか、太陽の光を浴びることでも、幾分作り出すことができる栄養成分の一つです。体内ではカルシウムやリンの吸収を促進するとともに、血液中のカルシウムの濃度を保ち、骨粗しょう症やくる病の予防をする働きがあります。

  • ビタミンB1

ビタミンB1は糖質からエネルギーを作り出し、素早く疲労回復する働きがあります。不足するとエネルギーの生成が上手くいかず、疲労が取れずに、だるさが抜けなくなります。また、皮膚や粘膜を健やかに保つ働きがあります。

過去に江戸煩いともいわれた脚気は、ビタミンB1不足が原因とされています。

  • ビタミンB2

ビタミンB2はたんぱく質や糖質、脂質をエネルギーに変える働きのほか、肌や粘膜を健やかに保つ働きがあります。

  • ビタミンB6

ビタミンB6は筋肉や血液などを生成し、肌や粘膜を健やかに保つ働きや、たんぱく質からエネルギーを産生する働きがあります。

  • ビタミンB12

ビタミンB12は葉酸とともに働き、血液中のヘモグロビンを生成する働きがあります。

また脳からでる信号を正しく神経に伝える働きがあります。

  • DHA/EPA

DHA/EPAはともに魚の脂に含まれる成分で、不飽和脂肪酸の一種です。DHAは細胞膜をしなやかに柔らかく保ち、冠動脈疾患などを予防する働きがあります。

EPAは血液中の血小板が固まってしまうのを防いだり、赤血球をしなやかに保ったりして、血栓症の予防に役立っています。

サバの薬膳的効能

中医薬膳学ではサバを下記の通り定義しています。

性味帰経効能適応
甘/温脾胃補血 補気 健胃 活血瘀血/血栓予防 体力回復 老化防止

『現代の食卓に生かす「食物性味表」」日本中医食養学会編纂より

薬膳で考える こんな時にサバがおすすめ

・血行が悪く、体が冷えやすいとき

 薬膳でいう補血や活血とは、血液を増やし、その流れを促進するという働きになります。

 血行が悪くて体が冷えやすく、貧血気味の方におすすめです。

 サバではあまり作らず、意外かもしれませんが、しょうが、根野菜もたっぷりの、温かいつみれ汁はいかがでしょうか。

・疲れがたまり、優しい料理で元気をつけたい時

 薬膳では、サバには補気、健胃の力があるとされています。疲れて気力が出ず、食が進まないとき、同じく「気」の働きを高めてくれる、日本が誇るスーパーフード、味噌をつかった、サバの味噌煮がよいですね。温かい味噌煮はご飯にもよく合い、食も進みそうですね。

サバレシピ

サバの味噌煮

サバメニューの王道と言えば、サバの味噌煮ではないでしょうか?魚が苦手な方でも味噌の風味やコクで食べやすく、作るのもとても簡単です。今回は臭みを取る簡単なコツも含めてご紹介します。

【材料】   2人分

・サバ(切り身)・・・2切れ

・日本酒・・・150cc程度

・味噌・・・大さじ3程度

・しょうが・・・1かけ

・ネギ・・・適宜

【作り方】

  1. サバは気になる骨があれば抜き、身が厚ければ中央に厚みの半分程度まで切り目を入れておきます。しょうがは太めの千切り、または薄切りにしておきます。
  2. 鍋に熱湯を沸かし、沸騰したら火を止め、一呼吸おいてからサバの切り身を鎮めます。30秒から1分ほど、全体が白っぽくなるまで待ってから引き揚げ、冷水にとります。モロモロとしたアクや血液の塊が染み出てきたら洗い流します。
  3. 鍋に日本酒、①のしょうがを入れて火にかけ、沸騰したら②のサバを入れ、落し蓋をして煮ます。5分ほどたったら、分量の半分の味噌を煮汁で溶き入れ、さらに5分程度煮て中心まで火を通します。
  4. 仕上げに残りの味噌を溶き入れ、器に盛り、小口に切ったネギを添えます。

まとめ

サバはアジやイワシと並び、私たち日本人にはとても身近な青魚の一つですね。煮ても焼いてもおいしく食べられる魚ですが、一つ、注意してほしいことがあります。

サバに限らず、天然の魚にはアニサキスという寄生虫がついていることがあり、気づかずに食べると胃壁に侵入し、胃潰瘍にも似た痛みを発することがあります。アニサキスは冷凍すると死んでしまいます。

念のため、生食用として販売されているサバでも、刺身や〆サバを作る場合は、24時間以上冷凍してから調理すると安心ですよ。