秋の乾燥による喉の痛み・咳の症状改善には

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little girl sneezing while walking in park
Photo by Gustavo Fring on Pexels.com

秋は乾燥に気を付けなければなりません。

秋の乾燥によって起こりがちなトラブル、とくに今回は喉の痛み・咳の症状について考えます。

東洋医学の知識を生かした中国の家庭料理もご紹介します。

秋は乾燥に要注意!

秋と言えば、乾燥に気を付けなければいけません。

なぜ気を付けなければならないのでしょうか?

秋に起こりやすいトラブルについて、考えてみましょう。

秋の乾燥によるトラブル

秋は空気が乾燥して、「肺」にダメージを与えます。

「肺」は潤いを好み、乾燥を嫌う特徴があり、「肺」の潤いが不足すると、喉や鼻の乾燥、から咳が出たり、カサカサ肌のトラブルがあらわれやすくなります。

秋に乾燥を対処せずに「肺」を傷つけると、冬に下痢をしやすくなり、体力を消耗し、風邪などの感染症にかかりやすくなります。

また肺と腸は深い関係があり、肺の働きが低下すると腸の不調にも繋がります。

咳の症状とは

秋と言えば、以上のような症状、とくに喉の痛み・咳といった症状が起こりがちですが、この咳は呼吸の働きを担っている肺に最も関係しています。

その中でも、肺の外部からくる邪気から体を守る力が落ちてしまい、風邪や空気の乾燥など、外からくるものが原因で起こる場合と、肺や腎の働きが弱ることで、痰や熱などが出て起こる場合とがあります。

こうした咳は症状別に対処の仕方が違います。

喉の痛み・咳といった症状には

喉が痛い・咳といった症状には、うがいをする、こまめに喉を潤す、刺激物をとらないといった対処が必要です。

他にも症状別にあった食材をご紹介します。

うがいをする

うがいをして、菌を洗い流し、のどを潤して乾燥を防ぎましょう。

のどを刺激するものは控えてください。

早く休むことで気の消耗を少なくして、気で邪気を取り除いたり、臓腑の働きを回復させることで早く回復します。

喉を潤す

喉を潤し、咳には、とくに梨と蜂蜜がいいです。

梨は火を通した方が肺を潤す作用が強くなるので、おすすめです。

とくに実よりも皮のほうがより効果が高いので、皮も一緒に火を通すのがいいです。

痰の多い咳、声枯れに効果が期待できます。

蜂蜜は喉や肺を潤し、殺菌作用もあります。

症状別に食材を使い分ける

喉が痛い・咳が出ると言った症状で代表的なものは、風寒の咳、風熱の咳、風燥の咳があります。

それぞれの症状に合った食材を使った薬膳が必要です。

痰が絡むような重い咳、透明の水っぽい痰や白っぽい痰、頭痛、体がぞくぞくするような風寒の咳には、カブやアンズがおすすめです。

激しく頻繁な咳、飲み込む時にひどく痛む、声が枯れる、痰が出にくい、痰が黄色でドロッとしている風熱の咳には大根、びわの葉茶、梨、カモミールが効果的です。

喉の乾燥、から咳、長引く咳、痰はないかあっても少ない風燥の咳には「陰液」を補う食材、蜂蜜、カリン等がいいです。

香辛料や刺激物、アルコールといった体を熱くする食材は、水分を出してしまうので控えましょう。

以上の中でも風寒の咳や風熱の咳といった症状が出る場合は風邪の引き始めを疑った方がいいです。

風燥の咳は秋に起きやすい症状でもあるのでこれから特に注意が必要です。

他にも喉が乾燥して起こる陰虚の咳や気の巡りが悪く気が逆上して起こる気逆の咳があります。

陰虚の咳には風燥の咳と同じような対策が必要です。

気逆の咳には大根、びわの葉茶、玉ねぎがおすすめです。

自宅でできる薬膳

中国の家庭料理は、東洋医学の知識をうまく取り入れた料理ばかりです。

お義母さんは中国出身で、薬膳の知識を生かした中国料理店も営んでいます。

そんなお義母さんが作ってくれる料理は、温かい家庭の味と、先祖代々受け継いだ知識が詰まっています。

そんなここならではの家庭料理やお茶についてお義母さんに教えていただきました。

レモンの酢豚

作り方

①下準備として、豚肉は、紹興酒、醤油、砂糖(紹興酒1:醤油3:砂糖3)で漬け込み、寝かせておく。

②レモンは適当な大きさに切り、レモン汁を作る。

絞った後のレモンの皮は捨てずに残しておく。

③レモン汁と、醤油大さじ1、砂糖大さじ2、水150ml、片栗粉小さじ1の合わせ調味料を作る。

④下準備した豚肉に片栗粉をまぶし、弱めの中火で炒める。

火を通したら、別の皿にのせる。

⑤同じフライパンで、一口大のパプリカや玉ねぎの乱切りしたものを加え、レモンの皮を入れ、中火で炒める。

⑥野菜に火が通ったら、火を通した豚肉を加え、合わせ調味料を加え、とろみがつくまで、炒める。

食材

レモン

体を冷やす性質があり、イライラ、発熱、のぼせ、ほてりなど、熱の症状を改善させる働きがあります。

また、体内の水分を増やすので、口やのどの渇き、から咳、ドライアイ、肌や髪の乾燥にもいいです。

とくに夏の暑さが残る初秋に適した食材です。

さらに妊娠中に胎児を安定させる働きがあるので、妊娠中の人にもおすすめです。

レモンの皮には、気の流れを活発にする作用があるので、ストレスを感じている時は、皮ごとお茶に入れて飲むといいです。

豚肉

津液を作り出し、体内の乾燥を改善する働きがるので、口やのどの渇き、肌や髪の乾燥、から咳、かすれ声、便秘の解消によく、糖尿病の薬膳料理にも使われます。

また腎の機能を高める作用と、気と血を補う作用もあります。

慢性的な疲労、元気が出ない、発育不良、白髪、爪が割れるといった症状にも適しています。

疲れを感じた時は、豚肉料理がおすすめです。

竜眼と白きくらげのお茶

作り方

①白きくらげを、水で10分戻し、不純物があったら取り除きます。

②砂糖少々と、お湯で5分煎じ、白きくらげを取り出し、別のお湯に加えます。

③皮をむいた生の竜眼、お好みでクコの実、ナツメ(大棗)も加え、弱火でゆっくり煮込む。

お義母さん曰く、中国茶を作る専用の機械があるようで、中国の方々はそれを使ってお茶を作るようです。

炊飯器のような機械で、ゆっくりじっくり熱を加えるため、その機械の方がよくお茶の成分が沁みるようです。

ただその機械がなくても、弱火でじっくり火にかけ、よく食材の成分が出るようにすれば美味しいお茶ができます。

お茶を飲み終わった後の食材は捨てずに、そのまま食べるのがおすすめです。

食材

竜眼

ライチと同じ仲間の果物で、食感や味、食べ方もライチによく似ていますが、種が大きく、ライチより少し小ぶりなので食べる部分が少ないです。

竜眼の実の中央にある種が龍の目に似ていることが由来となって「竜眼(リュウガン)」という呼び名がついているそうです。

中国では馴染みのある果物で、中国や台湾では日本の銀杏のように、街路樹として竜眼の樹が植えられている光景が見られるくらいです。

古くから滋養強壮作用があるとされ、中国では甘いおこわやお粥によく使われている漢方・薬膳素材です。

心と肺の働きを高めるので、物忘れ、情緒不安、不眠、食欲不振、動悸の改善にむいています。

また気と血を補う作用があり、疲れやめまいによく、美容効果も期待できます。

白きくらげ

津液を補って、弱った臓器を回復させる働きがあります。

とくに肺を潤す作用が強いため、から咳、口の渇き、のどの痛み、粘つく痰の改善に役立ちます。

また肺は肌の潤いを調節する機能があるため、乾燥やたるみを防ぐ、美容効果も期待できます。

とくに空気が乾燥しやすい秋は、積極的に食べるのがいいです。

まとめ

今回は秋の乾燥によるトラブルの中でも、とくに喉の痛み・咳といった症状について確認しました。

うがいをする、梨や蜂蜜のような喉を潤す食材をとる、刺激物をとらないといった対処が必要です。

また風寒の咳、風熱の咳、風燥の咳のような、それぞれの症状に合った食材を使った薬膳もご紹介しました。

ぜひ無理なくできる東洋医学の知識をうまく取り入れ、未然に秋のトラブルを防ぎましょう。