■ 夏の「心」とイライラの関係
東洋医学では、五臓の「心(しん)」は精神活動や血の循環をつかさどります。夏は陽気が最も盛んになり、心の働きも活発になります。しかし、暑さやストレス、睡眠不足が重なると「心火(しんか)」が過剰になり、次のような不調が出やすくなります。
- イライラ・落ち着かない
- 顔が赤く火照る
- 口が渇く
- 不眠、夢が多い
- 動悸、焦燥感
これは“火”が上にのぼってしまった状態。心火を鎮めて涼やかに過ごすことが、夏の養生のカギになります。
■ 心火を鎮める食養生のポイント
- 清熱(熱を冷ます)作用のある食材をとる
→ 苦味や淡味の野菜・果物が◎ - 潤いを補い、心を安らげる
→ 潤肺・養心の食材を組み合わせる - 冷たい飲み物のとりすぎには注意
→ 胃腸を傷めて逆にイライラの原因になるため、常温・温かい薬膳が理想
■ 心火を鎮めるおすすめ薬膳食材
効果 | 食材 | 解説 |
---|---|---|
清熱 | ゴーヤ、緑豆、きゅうり、セロリ、苦瓜茶 | 体内の余分な熱を冷ます |
養心安神 | 蓮の実、百合根、なつめ、龍眼肉 | 心を落ち着け、安眠を助ける |
潤いを与える | 梨、西瓜、トマト、豆腐 | 潤いを補い、火照りを抑える |
■ レシピ紹介
ゴーヤと蓮の実の涼やかスープ(2人分)
〈材料〉
- ゴーヤ…1/2本(薄切り)
- 蓮の実(乾燥)…20g(下茹でしておく)
- 豆腐…1/2丁(さいの目切り)
- 昆布だし…400ml
- 塩…少々
- 白ごま…適量
〈作り方〉
- 鍋に昆布だしを入れ、蓮の実を加えて柔らかく煮る。
- ゴーヤを加えてさっと煮る。
- 豆腐を加え、塩で調味する。
- 器に盛り、白ごまを散らして完成。
🌿ゴーヤで余分な熱を取り、蓮の実で心を安らげ、豆腐で潤いをプラス。
心火を鎮めて穏やかな気持ちを取り戻す夏の一品です。
■ イライラ対策のライフスタイル養生
- 夜更かしを避け、23時までに寝る
- 熱のこもりやすい辛い物・アルコールは控える
- 深呼吸や瞑想で心を落ち着ける
- 軽い運動やストレッチで気の巡りを促す
■ まとめ
夏は「心火」が高まり、イライラや不眠など心の不調が出やすい季節。清熱・養心の薬膳で体と心をクールダウンしましょう。ゴーヤや蓮の実を使った涼やかな薬膳は、残暑の養生にも役立ちます。