秋は空気が澄んで過ごしやすい一方、日中と夜の寒暖差や乾燥による体調不良を感じやすい季節です。東洋医学では、秋は「肺」と関係が深い季節ですが、気候変化や心の不安定さから「肝」と「心」にも負担がかかり、イライラや情緒不安定が現れやすくなります。
◆東洋医学における「肝」と「心」
- 肝:気血の流れをスムーズにし、情緒を安定させる役割。ストレスや抑うつで働きが滞ると、怒りやイライラが増えます。
- 心:精神活動を司り、血の充実と密接に関わる。過剰な不安や焦燥感があると、心の不調として現れます。
秋は乾燥によって血が不足しやすく、それが「肝」の疏泄作用を妨げ、結果的に「心」にも影響してイライラ、不眠、動悸などが出やすいのです。
◆イライラを和らげる薬膳のポイント
- 疏肝理気(そかんりき):気の流れをスムーズにする
→ 紫蘇、みかんの皮(陳皮)、菊花、ミント、ローズティー - 養血安神(ようけつあんしん):血を補い心を落ち着かせる
→ 黒豆、棗(なつめ)、竜眼肉、蓮の実 - 潤いを補う食材:乾燥による血の不足を補う
→ 梨、白きくらげ、胡麻、蜂蜜
◆おすすめ薬膳レシピ
「なつめと菊花の心安茶」
🌿イライラが強いときや、寝つきが悪いときにおすすめの薬膳茶です。
材料(2杯分)
- なつめ(乾燥)……3~4粒
- 菊花(乾燥茶葉)……小さじ1
- 竜眼肉(あれば)……3粒
- ローズティー(またはミント)……小さじ1/2
- 蜂蜜……お好みで
作り方
- なつめは半分に割って種を取り除き、水300mlで5分ほど煮出す。
- 火を止めてから菊花・竜眼肉・ローズを入れ、蓋をして5分蒸らす。
- 茶こしで漉し、好みで蜂蜜を加える。
効能ポイント
- なつめ:血を補い、心を落ち着ける。
- 菊花:肝の熱を冷まし、頭痛や目の充血にも良い。
- 竜眼肉:不安・不眠に◎。なければ省略可。
- ローズ:気の巡りを良くし、ストレスを和らげる。
- 蜂蜜:潤いを与え、気持ちを落ち着ける。
飲み方の目安
夕方以降に1~2杯。特に寝る前に温かい状態で飲むと安眠をサポートしてくれます。◆おすすめ薬膳レシピ
◆生活養生の工夫
- 深呼吸や軽いヨガで「気の巡り」を良くする
- スマホやパソコンの時間を減らし、自然と触れる
- 夜は温かい飲み物を取り、安眠につなげる
イライラは心身の不調のサイン。薬膳で肝と心を調え、穏やかに秋を過ごしてみませんか?