
自宅でできる薬膳
冷えは万病のもと!
冷えが招く不調は頭の先から足の先までたくさんあります。
逆に冷えがなくなり体が温まることが全身の不調改善に繋がります。
隠れ冷え性はご存知ですか?
ただ手足が冷たい人だけが冷え性というわけではないんです。
いま内臓が冷えている「隠れ冷え性」の人が急増しています。
今回は「冷え性」についてご紹介いたします。
冷え性とは
基本的に健康体温の理想は36.5度とされ、35度台であれば「冷え」の状態と言われています。
冷えの代表的なタイプ
冷え性のタイプは複数ありますが、中医学的には主に次の3タイプの冷えが多く見られます。
①血の巡りが良くない「瘀血(おけつ)」タイプ
普段から肩こりや頭痛、生理痛などがあります。
体の隅々に温かい血が巡らず、手や足先など末端が冷えやすい傾向の方です。
②エネルギー・栄養が不足の「気血不足」タイプ
ストレスを感じやすく、貧血、疲れやすいです。
生理や出産、睡眠不足、胃腸が弱っている時に冷えが強くなる傾向の方です。
③体を温める「腸」のエネルギー不足の「陽虚」タイプ
高齢者や慢性疾患を持つ方、虚弱体質の人、病後で体力が落ちている方に多く見られます。
外からの寒気が体に入りやすく、体の中に内寒も生じやすく、より冷えを強く感じる傾向があります。
隠れ冷え性とは
ただ手足が冷たい人だけが冷え性というわけではありません。
手足や顔がほてって「暑がり」と感じている人も、実は内臓が冷えていることがあります。
この内臓の冷えを「隠れ冷え性」と言います。
とくに内臓が冷えているのに顔や手足がほてる場合は、「冷えのぼせ」になってしまっている可能性があります。
「冷えのぼせ」は、冷えにより基礎代謝が低下し、熱の供給がアンバランスになることで起こります。
隠れ冷え性が夏太りの原因にも
隠れ冷え性が原因で夏冷えを起こし、「夏太り」する危険もあります。
夏冷えで血液の循環が悪くなると胃腸の内臓冷えが起こり、冬と勘違いして体が脂肪をため込もうとするからです。
そうならないためにも、しっかり血流改善をしなければなりません。
予防法
日常生活で体を冷やすことをしない
冷えの原因はさまざまで、体を温めることも大切ですが、服装や食事など、日常生活で体を冷やすことをしていないかが重要です。
以下の項目は全て冷えの原因となります。
・ジュース・刺身などの冷えた飲食物の過食
・薄着や素足の出る衣服・きつい下着
・長時間の座った姿勢での作業
・強いストレス
・無理なダイエット
・喫煙
心当たりはありませんか?
体を冷やす原因があれば取り除くことで改善が早くなります。
「瘀血(おけつ)」タイプの冷え
玉ねぎ、ニラ、ニンニク、生姜等の体を温める食材、黒きくらげ、黒ゴマ、黒豆、昆布などの黒い食材がいいです。
他にはチンゲン菜、青魚、納豆、酢、紅茶もあります。
「気血不足」タイプの冷え
米、長芋、南瓜がいいです。
他にはトマト、ニンジン、枸杞の実等の赤い食材、黒きくらげ、黒ゴマ、昆布等の黒い食材、緑黄色野菜、鰹、豚肉などもいいです。
「陽虚」タイプの冷え
体を温めるラム肉、牛肉、海老。
ニラ、紫蘇、生姜、ネギ等の辛味がある食材、山椒、八角、クローブ等の香りスパイスの食材、他にはチャイ、葛湯、みそ汁もいいです。
隠れ冷え性
衣服で体を冷やさないことが大事です。
とくに首、手首、足首を冷やさないことを意識してください。
足首は脂肪が少なく、血流も届きにくい場所なので冷えやすいので注意が必要です。
足を組む癖も見直した方がいいです。
血液やリンパの流れが悪くなり、冷えやむくみの原因になります。
自宅でできる薬膳
「凛林」さんと、お義母さんに教えていただいた薬膳をご紹介致します。
「凛林」さんは、知る人ぞ知る鎌倉市二階堂にある名店、中国料理、薬膳料理、精進料理のお店です。
私のお義母さんは中国出身で、薬膳の知識を生かした中国料理店も営んでいます。
そんなお義母さんが作ってくれる料理は、温かい家庭の味と、先祖代々受け継いだ知識が詰まっています。
今日はそんなここならではの秘伝のレシピについて、ご紹介いたします。
中華粥

中華粥はお店のメニューにはありませんが、予約時に伝えてもらえれば、作っていただけるそうです。
今回はご家庭で手軽に作れる、炊飯器を使った中華粥について教えていただきました。
これならもし体調が悪い時でも、無理なく作ることができますね。
作り方
水からでも良いですが、中華スープからお粥を作ると、より出し汁が入って美味しいです。
甘くしたい場合、蜂蜜も加えるといいです。
①炊飯器に、お米を入れ、水ではなく、出汁でお粥の設定にして、炊く。
②生姜のみじん切り、食べやすく切ったネギを入れ、塩などお好みで調味する。
食材
米
バランスのとれた平性の米は、すべての体質によい主食です。
脾の働きを整えて気を補うので、慢性的な疲労、集中力の低下、消化不良に良いです。
また体内の熱を抑え、乾燥を改善する働きがあり、イライラやのどの渇きにもおすすめです。
精米前の玄米には、これらの作用に加え、腎と肝を補う作用があります。
ただし消化がよくないので、胃腸が弱い人は控えてください。
葱
体を温めて体内の巡りを活発にするので、冷えが引き起こした痛みの症状改善に適した食材です。
中でも発汗を促す作用があるので、悪寒、発熱、頭痛、胃痛、関節の痛みなど、冬の風邪の症状を和らげてくれます。
胃を温める働きもあるので、寒い時に悪化する下痢、便秘、腹痛、むくみの改善にもいいです。
生姜
体を温める作用があるので、ぞくぞくする冬の風邪、手足の冷え、血行不良など、冷えが引き起こす症状全般によい食材です。
とくに胃に作用するので、腹痛、吐き気、下痢の改善にも良いと言われています。
また肺の機能を高めるので、のどの痛み、かすれ声、胸の痛み、咳や痰の症状が出たら、すりおろした生姜を加えた温かい飲み物を飲むといいです。
白湯

白湯とは、いったん沸騰させた湯を適温に冷ましたものです。
朝一番に、温かい白湯を少しずつ飲んで、優しく胃腸を起こし、体の芯から温めるといいです。
電気ポットや電気ケトルで沸かしたお湯を飲んでもいいですが、おすすめはヤカンで沸騰させたお湯です。
作り方
①やかんに水を入れ、沸騰するまで強火で沸かします。
②やかんの蓋を取り、大きな泡が出るくらいの火力にして、そのまま3~10分、待ちます。
③火を止め、50度くらいになるまで自然に冷まします。
白湯の効能
冷え性改善、胃腸の働きを活性化、基礎代謝アップ、デトックス作用(便秘・むくみ解消)、美肌効果(ニキビ・乾燥肌の予防)、リラックス効果、血流改善
お店の紹介
「中華粥」は「凛林」さんがご紹介してくださいました。

「凛林」
http://www.kamakura-rinrin.com/
〒248-0002
鎌倉市二階堂725-4(瑞泉寺山門上ル)地図はこちら
TEL:0467-23-8535
FAX: 0467-23-8534
不定休(お電話にてお問合せください)
【営業時間】予約制(ご来店前にお電話にてご確認ください)
ランチタイム:午前11時~午後3時
ディナータイム:午後5時~午後9時(ラストオーダー午後7時30分)
まとめ
冷え性は手足が冷えだけではなく、内臓の冷えから起こる「隠れ冷え性」にも気を付けなければいけません。
冷えはそもそも日常生活で冷える原因を作らないことが重要です。
また「瘀血(おけつ)」、「気血不足」、「陽虚」といったタイプ別に、それぞれに合った予防策もご紹介しました。
冷えがなくなることで、今ある不調が改善するかもしれません。
東洋医学の知識を生かして、冷えが招く不調を予防しましょう。